【住設訪販企業】 <相次ぐ処分、闇バイト事件影響も> 再エネの勢いも成長鈍く/組織変更や事業多角化で攻勢へ (2024年12月12日・19日合併号)

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プロメテックスホールディングスの独自ブランド(写真は一例)

プロメテックスホールディングスの独自ブランド(写真は一例)

 住設訪販企業を取り巻く環境が一段と厳しくなっている。上場企業の直近の決算を見ると、成長を続ける企業はあるが、全体の成長は鈍い。近年、新築住宅の着工件数は減少している一方、既存住宅の省エネ商材を活用した再生可能エネルギー市場は拡大傾向にある。営業に関しては新規開拓より既存顧客への提案に力を入れる企業が増加しており、飽和状態にある競争環境の中、行政処分も後を絶たない。闇バイトによる強盗事件に顧客リストが利用されていたとの報道も各社の事業に影響が及んでいる。

 サニックスの24年4―9月期(中間期)における住環境領域の売上高は、前年同期比2.3%増の80億8400万円で、営業利益は同19.2%増の10億1700万円だった。
 このほか、戸建て住宅向けシロアリ防除を行うホーム・サニテーション事業の売上高は61億8300万円、太陽光発電や蓄電池を販売するソーラー・エンジニアリング事業の売上高は6億2200万円だった。こうした住環境領域は、法人営業体制の強化に加えて、顧客基盤を生かした既存事業の営業強化で増収を維持した。
 シロアリ防除施工のアサンテの24年4―9月期(中間期)の売上高は、前年同期比3.3%増の78億4000万円だった。ウェブ広告による新規申し込みの獲得件数が増えたほか、提携先の工務店などを経由した新規顧客獲得も進んだ。
 グリムスの24年4―9月期(中間期)におけるスマートハウスプロジェクト事業の売上高は前年同期比11.5%減の22億3400万円だった。営業利益は同41.4%減の2億8300万円で2桁の減収減益となった。蓄電池販売の伸び悩みがマイナス要因となった。


■訪販では収益厳しく

 住設訪販企業では近年、事業の多角化戦略が進む。訪販事業だけでは収益確保が厳しくなっているのが背景にある。訪販を主軸に残ししつつも、他事業で収益を確保する取り組みが広がっている。
 こうした多角化戦略が奏功している事例も出ている。
 ライジングコーポレーションは24年4―9月期(中間期)のエコソリューション部門の売上高が前年同期比30.5%増の11億8600万円となった。同部門は一般住宅のほか、倉庫向けの太陽光発電や蓄電池の販売・施工・メンテナンスまで手掛ける。中間期は非住宅建築物の受注が好調に推移した。
 太陽光発電や蓄電池を販売する日本住宅総合開発(本社愛知県)などを傘下に持つプロメテックスホールディングス(本社愛知県、加藤皇大社長)は、24年8月期の売上高が前期比26.8%増の33億5000万円だった。
 法人営業部門が大口契約を獲得したほか、北海道に開設した新支店で地域密着型営業を強化した、地域の需要を捉える体制で、顧客基盤を拡大したという。
 外的要因として再生可能エネルギーへの関心の高まりも追い風となった。法人営業の強化によって産業用や商業用の太陽光発電の需要を獲得。脱炭素化の支援や電力コスト削減のニーズにも応えた。
 同社は多角化戦略の一環として、海外展開も強化している。12月2日にグローバル市場に向けた新しい太陽光発電「AMTERASU PX590 NH144」の販売を始めた。世界中で新しいライフスタイルを提案し、再生可能エネルギーを通じて持続可能な未来への貢献を目指すとしている。

(続きは、「日本流通産業新聞 12月12日・19日合併号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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