アマゾンジャパンの独占禁止法違反の疑いの件について、公正取引委員会は12月4日、サイト上にアンケートページを開設した。アマゾンに出品する事業者を中心に、取引の実態に関する情報提供を求めている。集まった情報を、行政処分を行う際の根拠などとして活用するのが狙いだと見られる。公取委によると、専用ページを設けて、情報提供を募るのは初の試みだという。アマゾンに関するコンサルティングを行うアグザルファ(本社東京都)の比良益章社長は、「アマゾンにおいて、価格競争はビジネスモデルの基本。仕組みを変えることは難しく、大きな影響はないと思われる」と分析している。
公取委は11月26日、独占禁止法(独禁法)違反の疑いで、アマゾンジャパンに対して立ち入り検査を行った。アマゾンジャパンは今回の件に関して、「公正取引委員会の調査に、全面的に協力してまいります」とコメントしている。
公取委によると、立ち入り検査で問題となったのは2点だという。
1点目は、アマゾンが出品者に対し、「競争力のある価格」を提示するように提案していることだとしている。価格を下げない場合、カートボックスをはく奪している例があったようだ。
2点目は、FBA(フルフィルメントバイアマゾン)の導入による優遇だという。FBAを導入している企業のカート表示を優遇していることが、違反になる可能性があると公取委ではみているようだ。
独禁法に詳しい越田雄樹弁護士によると、「競争力のある価格」の提示を求める行為や、FBAの利用会社への優遇は、独禁法が禁じる「優越的地位の濫用」「拘束条件付取引」に該当する可能性があるという。
■初のアンケートページを設置
公取委は12月4日、公取委のサイト上に、出品事業者に回答してもらうためのアンケートページを開設した。12月4日の時点で、「事件審査の一環なので、具体的な回答件数や、回答内容は伝えられない」(公取委)としていた。
公取委によると、「過去にも、情報提供をサイト上で募集したことはあるが、専用のアンケートページを作ったのは本件が初」だとしている。
回答方法に関しては、原則として企業名や連絡先を記載する形となっている。「価格とFBAの導入による、カートボックスの優先順位に関する情報を求めている。該当する可能性のある事業者には個別に連絡し、情報を求める予定だ。アンケートは審査期間中実施する予定だ」(同)と話していた。
■ビジネスモデルに影響はなしか
今回の件について、アグザルファの比良社長は、
(続きは、「日本ネット経済新聞」12月12日号で)
【アマゾン独禁法違反問題】 <公正取引委員会> 事業者への実態調査開始/専門家「ビジネスモデルは変化なしか」(2024年12月12日号)
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