【EC支援サービスマップシリーズ】「越境EC」

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 越境EC市場が拡大しつつある。大手から中小まで越境ECに参入する事業者は後を絶たない。転送サービスなどを利用して手軽に対応を開始する事業者もいれば、海外のECモールに出店し本格的にEC事業に着手する事業者もある。国内向けとは勝手が違う越境ECに取り組むためにはパートナー選びが重要だ。「日本ネット経済新聞」と、EC業界のキュレーションメディア「eccLab」が共同制作した「越境ECサービスマップ」を参考にしてほしい。



■手軽な購入代行対応

 越境ECとは国内にいながら海外の顧客に向けてネット通販を行うこと。海外に支社を構える必要はなく、国内から販売できる手軽さが受けている。
 購入代行サービスに対応すれば、海外発送や海外決済に対応せずに越境ECに取り組むことができる。代行業者の国内倉庫に商品を送るだけで、海外顧客に商品を届けることが可能だ。
 転送サービスも購入代行サービスと仕組みは似ているが、決済については自社で対応する必要がある。海外ユーザーにとっては転送サービスを利用した方が手数料は低いというメリットがある。
 転送サービスを導入しなくても、日本郵便の国際スピード郵便(EMS)などを用いて海外ユーザーに商品を発送している事業者も多い。自社で海外ユーザーに対応するには、サイトを多言語対応したり、外国語で問い合わせ対応を迫られるケースもある。顧客対応やサイト翻訳を支援するサービスを活用して対応することも可能だ。


■費用異なる販売代行

 越境ECの販売代行サービスを活用する方法もある。海外でECサイトを展開していたり、海外モールに出店している事業者に商品を提供し、販売してもらう方法だが、サービスにより費用体形が異なるため注意が必要だ。
 NHNテコラスが提供する「越境スター」のように初期費用や固定費がかからない販売代行サービスもある。
 ソウルドアウト(本社東京都、荻原猛社長)やエフカフェ(本社大阪府、江上周平社長)は、比較的低価格で中小企業の販売代行にも対応している。


■パートナー選定が鍵

 海外モールに直接出店し、越境ECを開始する事業者も多い。自らの販売戦略に基づき、越境EC事業を運営できるため、成功すれば大きな売り上げを上げることもできる。
 キリン堂はアリババグループの越境ECモール「天猫国際(Tモールグローバル)」に出店し、16年2月期は10億円近くを売り上げた。
 巨大なEC市場を抱える中国のECモールに出店するためには、販売パートナーが必要不可欠。多くの国内企業は国内と現地(中国)にそれぞれパートナーを抱えている。国内パートナーと戦略を練り、現地パートナーが実際の運営を行うといったスキームを組むわけだ。
 「天猫国際」は出店審査も厳しいが、出店コストも高いため、パートナーとともにしっかりとした販売計画を練る必要があるだろう。
 海外モールへの出品作業や運営業務を効率化する支援サービスも登場している。もちろん出品するだけではなかなか売れない。出品後のマーケティング施策や顧客サポートの体制をしっかりと準備してから販売に着手した方がいい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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