【千原弁護士の法律Q&A】▼426▲ 当社と無関係の商品への返金請求について(2025年3月20日号)

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<質問>



 連鎖販売会社を経営しています。消費生活センターからの返金請求についてのご相談です。既に退会した会員Aの傘下である会員Bが、当社のビジネスと無関係の投資商品をAから買わされたとして、当社に返金するよう要請してきています。Aからは返金がないということです。これは当社の商品ではなく、Bも会員なので当然にそのことを知っています。当社はBから代金を受領してもいないので、消費生活センターには断っています。ただ、「会社の組織の中での販売なので会社にも責任がある」と言って、納得してくれません。当社としては、このまま要求には応じない方針ですが、問題ないでしょうか。リスクはないでしょうか。どのように回答するのが良いでしょうか。(ネットワークビジネス会社社長)

<回答> 金銭の受領もないため法的責任はない



 貴社の方針は問題ないと思います。消費生活センターの指導対象は、あくまで貴社ビジネスに関する取引です。貴社の事業でもなく、金銭の受領もしていない貴社には法的に何ら責任はなく、センターの指導の範囲外であることは明らかです。
 熱心なセンター担当者は、時々、なんとか相談者の要求をかなえようと、今回のような無茶な要求をしてくることがあります。
 そして、内容によっては円満な落着を考えた方が良いケースもあります。
 例えば貴社ビジネスに関して「不実告知がないのに不実告知があった」「契約書面を交付したのに交付していない」等のケースです。これらは、相談者の主張が事実ではない場合も、会社と消費者間の取引ではあり、会社は金銭を受領しており、会社が「法律関係」に入っています。

(続きは、「日本流通産業新聞 3月20日号で)

【プロフィール】
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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