【有力コールセンターの強みに迫る】第3回 <創業49周年の老舗が掲げる教育論とは> ベルウェール渋谷 代表取締役会長兼社長 平野宏氏/RPA、人材育成など全て”現場”が軸(2023年6月22日号)

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 「コールセンターに求めること」という質問に対して、「教育の徹底」と回答する通販企業も存在した。オペレーターの教育に注力することで、インバウンド・アウトバウンドの成約率の高さやバックオフィスでの作業の効率化につながりやすくなる。有力コールセンターの強みに迫る第3回目では、教育に重きを置くベルウェール渋谷(本社東京都)を取り上げる。同社は結果につながりやすいトークのテクニックやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などを全て現場が主軸と考え、教育マニュアルを作成している。平野宏代表取締役会長兼社長に同社が考えるコールセンターにおける教育論などを聞いた。

 ─改めて貴社の強みを伺いたい。
 一言で言うと、”歴史”が他社と異なる。当社は今年で創業49周年を迎え、”コールセンター”という呼び名ができる前から、電話受託業務を開始している。
 クライアント数は2万社以上だ。個人情報の保護体制に対する第三者認証制度であるプライバシーマークも2年ごとに更新を行い、今年で10回更新したため、20年継続で取得していることになる。
 17年には、更新を長年継続していることに対して、日本情報経済社会推進協会より表彰もされた。長年事業を行ってきたからこそ得た、歴史に紐付く安心感が、他社よりも優れていると考えている。
 ─その歴史から得た他社と異なる強みは。
 DX(デジタルトランスフォーメーション)に関しては、全て”現場”を軸に考えている。コールセンターでは、応対履歴の転記や顧客情報の登録、日々の作業内容の集計などを、RPAを使って行っている。当社は現場のオペレーターやスーパーバイザーなどがRPAを構築できるよう指導を徹底している。
 他社ではパートナー企業のシステム部員がRPAの構築を担当したり、コールセンター企業のシステム部員が担当したりする。なかなか現場担当者がRPAを構築することはないだろう。
 なぜ現場担当者がRPAを構築するのか。それは主に、(1)最短で業務を回すことができる(2)現場で作業をしているからこそ分かる苦労点を反映することができる─からだ。
 コールセンター企業のシステム部員が担当すると、構築までに時間がかかる。すぐに悩みや問題を解決できない。やはり現場の声が分からない人がRPAを構築しては意味がないのだ。
 現場が分かる人が構築することで、バックオフィスの負担軽減や、より効率的にコールセンター業務をまわすことができるアドバイスをクライアントに提案できる。現場担当者が行うため、通常のオペレーター業務に加えての作業になるが、現場の生の声をさまざまなことに反映できるため、当社では現場担当者が構築することを重要視している。


■テクニックを共有

 ─貴社のコールセンターの人員は特に顧客対応に優れている印象を受ける。その人材育成も長年の歴史から得たものが影響したと考えている。人材育成の詳細を伺いたい。
 人材育成も現場を軸に行っている。一般的には、外部のコーチングスタッフを雇って、現場担当者にノウハウを伝授するが、当社は異なる。あくまでも現場を知る人が講師となり、経験を伝える。
 コールセンターの業務を知っているのは現場の人だ。そのため、当社では現場でさまざまなことを培った人が知識を共有する。
 具体例をあげると、”間の取り方”。怒っている人と悲しんでいる人とでは、返答する”間”を変えなくてはいけない。悲しんでいる人にはしっかりと相槌を打ち、「あなたに寄り添っていますよ」と伝えることで、関係性を強固にすることができる。
 一方、怒っている人には、間髪を入れずに即座に謝罪することが重要だ。あまり返答をしないと「この人私が怒っているのに本当に話聞いているのかな」とより怒りを増長させかねない。このようなテクニックを社内で共有している。コールセンターでの怒っている人や悲しんでいる人の対応は、なかなか外部講師は把握しきれていないことが多い。
 ─直近の導入企業の詳細について聞きたい。
 大手メーカー、大手通販企業などから導入が続いている。もちろん既存企業からも継続して利用していただいている。大手企業からの新規導入が続いているのは、当社が大事にしている現場目線の取り組みが、さまざまな業界の既存顧客の間で話題となり、認知が広まっているからだろう。コールセンターは現場が主役だ。これからも”現場目線”を忘れずに事業を推進していきたい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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