【ダスキン 大久保裕行社長】 <24年3月期に創業60周年> 対面、非対面の顧客体験で顧客数増へ(2023年8月24日号)

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 ダスキンは、長期戦略「ONE DUSKIN」の第3フェーズ「中期経営方針2022」における2年目がスタートした。試験的に展開してきた、営業活動に特化した組織で、新規客との契約を進める「家庭用営業専任組織」の新規契約により顧客総数が純増に転じるなど成果が表れている。これを受けて、24年3月期はフランチャイズ(FC)への導入を進める。創業60周年を迎えるダスキンの大久保裕行社長に、中期経営方針の進捗と訪販グループの事業戦略と方向性について聞いた。

「営業専任組織」に成果

 ─「中期経営方針2022」の初年度の成果ついて聞きたい。
 計画では、(1)事業ポートフォリオの変革(2)経営基盤の構築(3)社会との共生─という3テーマを掲げた。ここ数年、訪販グループでは、主力の清掃用品のレンタル事業が成長しきれていなかった。
 一方で、プロのお掃除や家事代行などの役務サービスはお客さまから好評をいただいている。高齢者の暮らしをお手伝いする「ライフケア」、介護用品・福祉用具のレンタルと販売「ヘルスレント」などは市場ニーズが高いこともあり順調だ。
 最重要課題は清掃用品のレンタル事業を再成長させることであり、成熟期から再成長に移行させていくことだ。再成長させるため、CX(カスタマーエクスペリエンス)として、製品の性能、機能、価格をベースとして、購入前、購入時、購入後のそれぞれの体験といった一連のプロセスを充実させていくということが事業変革のために必要だと考えた。当社は訪問販売なので購入時の体験に強みを持っている。一方で、その前後が課題であり対面、非対面の双方において強化していく必要があった。
 ─「家庭用営業専任組織」を展開してきた。
 販売員による訪問販売とは別に、レンタル業務を行わず、新規客との契約を目指すための「家庭用営業専任組織」を、全国の直営店と関係会社約60店で、約250人を採用して試験的に取り組んできた。これまでは解約が新規契約を上回っていたために減収してきた。
 営業専任組織を統括する活動リーダーを中心として、朝のミーティングからロールプレーイング、目標確認、活動後のミーティングでの状況確認といったサポート、必要であれば営業同行も実施してきた。これまで営業専任スタッフに任せきりにしてきたという反省があったからだ。重要なのは営業責任者が同じ方向でサポートしていくことだ。訪問した顧客をデジタル化して、どの顧客に何を提案したのかを営業ツールの導入で見える化した。
 営業専任スタッフは主婦層を中心に雇用している。結果的に23年3月期の後半において、新規契約が既存顧客の解約を上回り、契約件数が純増に転じた。訪販グループの売り上げは前期比1・3%増となった。
 ドアツードアで訪問営業を行い、以前は契約を諦めていたオートロックマンションの住民からも契約をいただけるようになった。先入観で会うことができないと考えていたが、社名を伝えると意外にドアを開けてくれることを再認識した。こうした結果を踏まえ、24年3月期には、家庭用営業専任スタッフを加盟店にも広げ、約700人を採用する。新規契約は専任スタッフが担うことで、営業をさらに強化し、より生産性を高めたい。


■非対面のウェブ施策を強化

 ─ウェブ施策で徐々に成果が出始めている。


(続きは、「日本流通産業新聞」8月24日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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