【コールセンター】NTTマーケティングアクト:山本英治 取締役カスタマーソリューション事業推進部長/先駆的にAI活用を推進/AIによるVOCの導入で成果

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 NTT西日本グループでコールセンター事業を行うNTTマーケティングアクト(本社大阪府、山本博敏社長、(電)06―6450―5460)はAIによるVOC(顧客の声の収集・分析)に先駆的に取り組み、成果を挙げている。同社のAI活用の取り組みについて山本英治取締役カスタマーソリューション事業推進部長に話を聞いた。

 ーーー御社ではAI活用を積極的に推進しているということだが。

 ここ数年市場が急速に変わってきており、これに対応すべく、AI導入によるVOCの強化を進めている。少子高齢化、グローバル化といった流れと並行して、音声データのテキスト化といったトレンドは確実に急速に進んでいる。以前は電話での問い合わせが当たり前だったが、スマホの時代になり、メールやチャットといったテキストでの対応も増えている。通信を生業とするNTTグループの当社としては、新しい通信分野においても先行的な地位を築きたいと思っている。そんな思いでこの数年、AI化・VOCの取り組みを進めてきた。NTTグループは、AIを活用した日本語の音声認識においても、トップレベルの実力を持っている。研究成果を貪欲に取り入れつつVOCによる情報武装を強化していきたいと考えている。

 ーーー御社のVOCシステムでは、具体的にどのようなことが可能か。

 当社の音声マイニングシステムは高精度な音声テキスト化や通話録音を基盤としつつ、(1)センタ傾向の見える化(自動集計)(2)リアルタイムフォロー対応(3)分析対応ーーーといった各機能を備えている。こうした各機能により、効果的・効率的なコンタクトセンタ運営が可能になっている。
 「センタ傾向の見える化」という部分では、音声認識によってテキスト化したデータを基に、例えばコールリーズン(電話をかけてきた目的)、キーワードランキング、スクリプト準拠率、オペレーター別スコアといった各項目を自動集計して表示できる。怒り呼(怒っている顧客からの電話)や満足呼、禁句呼(言ってはならない言葉)などの量を自動集計することもできる。
 「分析対応」の部分では、発話順検索や話速測定、無音時間抽出などもできる。単語に偏りがないかなどのチェックも可能だ。当社ではこうした機能を、オペレーターへの効果的・効率的な指導や、FAQ・トークスクリプトの改善などに役立てて成果を上げている。
 さらにシステムは「リアルタイムフォロー対応」の機能も備えている。お客さまとの会話内容がリアルタイムに、精度の高いかたちでテキスト化されるため、例えば、薬事法に抵触する言葉や、購買意欲を失わせる言葉などNGワードを登録しておけば、スーパーバイザー(SV)が複数のオペレーターの会話から瞬時に問題点をチェックし、当該オペレーターに迅速にアドバイスを行うことができる。事前に設定したキーワードが出ると、オペレーターの画面にFAQを自動表示する機能もあり、お客さまへのスムーズな案内が可能だ。

 ーーーVOCは今後も進化させていく?

 もちろんだ。「AIチャットボットによる自動応対」といった分野が注目されているが、その前段階として必須となるのがFAQの整備や、業務の再設定といったことだ。これがなければ、最新のAIがあろうとうまく運用することはできない。当社としては、VOCによる分析結果のナレッジの蓄積を基に、FAQの整理や、受け付けフローの再設定、応対トークの改善といった部分にも注力しており、ノウハウはたまってきている。AIを導入したいが方法が分からないという話もよく聞くが、コンタクトセンタとして知見を積み重ねてきた当社だからこそ、お役に立てる部分があるのではないかと考えている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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