【コールセンター】トランスコスモス:船津康次 代表取締役会長兼CEO/AI研究を本格化/活用領域の深化目指す

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船津康次氏

船津康次氏

 トランスコスモスは、人工知能(AI)活用の研究所を設立するなど、生産性向上に向けた取り組みを強化している。自動化による新たな業務モデルの構築を進めており、オペレーターの負担削減や定着率の向上につなげたい考えだ。AI活用や海外展開、人材確保へのとり
 ーーーAIの活用や、RPA(ロボットによる業務自動化)に向けた取り組みを進めている。

 問い合わせに対してAIがFAQから適切な回答を導き出すなど、オペレーターの業務補助に向けた取り組みは以前から行っており、実績を積み重ねている。AIがオペレーターを支援することで、オペレーターはお客さまとのコミュニケーションにより集中でき、結果的にお客さまの満足度を上げることができる。
 現在は、さらに深い領域までAIを活用していくために研究を進めている。9月にはコミュニケーション領域に特化したAIや機械学習など先端技術の研究所「コミュニケーションサイエンスラボ」を設立し、国内トップレベルの研究者とともにAIの技術支援・インキュベーション事業を行う会社も立ち上げた。
 RPAに向けた取り組みも長年続けており、バックオフィス業務ではヒトの業務負担を3割削減するなど成果を上げている。

 ーーー人材確保が業界の課題だが、トランスコスモスの現状は。

 採用は年々厳しくなっていると感じている。採用をスムーズに進めるために、地方での拠点展開を進めている。採用と同時に、働き方を柔軟にして定着率を上げることも重要だ。
 一例として、短時間勤務の制度を設けたり、センターにカフェテリアや畳部屋を用意している。当社のコールセンター社員の7割が女性。子育てを支援する取り組みも進めている。他にも社員の働きやすさを重視した取り組みを強化しており、定着率の向上につなげている。
 採用を強化するには、コールセンターそのものの認知度や社会的なステータスを高めていく必要がある。地方自治体のボランティアイベントやスポーツイベントにも積極的に参加している。

 ーーー前期は販管費が前々期から約40億円増えた。理由は。

 AIなどへの先行投資や拠点増、海外展開の活発化に加え、ヒトを増やしているため人件費も増加した。AI活用やRPAを推進することで生産性を高め、ヒトだけに頼らない事業モデルを構築していく必要がある。
 ITがヒトをサポートすることで働きやすさが増し、定着率の向上にもつながる。そのような好循環をいかに作っていくかが問われてくる。

 ーーー海外事業の戦略について教えてほしい。

 海外ビジネスは今後も強化していく。中国など巨大なEC市場に出ていくクライアントをアウトソーサーとして支援するために、海外の拠点は今後も拡大していく。海外の現地企業や欧米企業のサポートも積極的に進めている。欧米では提携企業や買収した企業の拠点を活用し、アジアでは自社で拠点を構えている。
 現在、当社の総売上高における海外事業の売り上げは十数%だが海外事業の業績伸び率は高く、将来的には50%を超えるよう取り組んでいく。

 ーーー多言語対応も強化している。

 当社の多言語対応は札幌・横浜のセンターで行っており、現在、7カ国に対応している。グローバル化が急速に進む中、日本ではコールセンターの多言語対応へのニーズが今後も増すとみている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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