【コールセンター】りらいあコミュニケーションズ:中込純 代表取締役社長/海外事業を成長の柱に/AIで成約率向上の例も

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中込純氏

 りらいあコミュニケーションズは、さらなる成長に向けて東南アジアなど海外事業を強化していく考えだ。2~3年以内に総売上高の20%規模に拡大していく。チャットボットに「IBM Watson」を活用するなど、人工知能(AI)を活用した自動化戦略も推進する。今後の戦略やAI活用の現状、人材確保について中込純社長に聞いた。


 ーーー前期(17年3月期)の連結売上高は18.0%増だった。増収要因は。

 まずは国内のコールセンター事業が堅調に伸びた。電力、官公庁、通信を筆頭に、ほぼすべての業界で業績が拡大した。さらに、フィリピンのコールセンター会社、SPi CRMを買収したことでその売り上げが合算された。
 今期は国内事業の継続成長に加え、SPi CRMの売り上げが丸一年分上積みされる。売上高は前期比12.5%増の1082億を見込んでいる。

 ーーー海外事業に力を注いでいる。今後の戦略は。

 もともとタイとベトナムに拠点を持っていたが、昨年新たにフィリピンに大きな投資をした。コンタクトセンターの海外進出という点では、国内の同業他社の中でも当社のプレゼンスが大きいとみている。
 SPi CRMの売り上げのうち、6割が米国のお客さま向けのサービスで、3割がフィリピン国内および東南アジア向けとなっている。当社はこれから米国の市場を伸ばしていくが、一番の狙い目は東南アジアだ。コールセンター産業の市場の変化を取り込んで、次の成長の柱にしていきたい。
 中期経営計画では、海外事業の売り上げが総売り上げの10%程度を見込んでいた。ただ、すでに今期は13%を見込んでいる。2~3年の内に20%まで成長させる計画だ。

 ーーー人工知能(AI)を活用した取り組み事例を教えてほしい。

 5年前からコールセンターの自動化に取り組んできた。音声認識によりコールセンター業務の一部を機械で代替できないかという研究を続けてきて、昨年から成果が出始めている。
 当社はAIを活用した二つの商品を提供している。チャットボット「バーチャルエージェント」は昨年から多くの引き合いをいただいており、現状は通販企業など30社を上回る企業で採用いただいている。もう一つの商品は、音声認識を活用したIVRシステム(自動音声応答)「りらいあ・ボイスクラウド」。これは現在5社が活用している。
 今年から「IBM Watson(ワトソン)日本語版」を活用した「バーチャルエージェント」の提供を開始している。いただいたお客さまの声を効率的に学習させることができるようになり、結果として成約率の向上につながる例も増えている。
 電話対応を減らすこともできる。ふるさと納税サイト「さとふる」で12月のコールがピークになる時期に導入したところ、問い合わせ件数の77%を「バーチャルエージェント」が自動処理した例もある。

 ーーー人材確保の現状は。

 人手不足の状況を変えていくために採用の強化と離職率の低下に向けた取り組みを進めている。時給を上げることよりも、働きがいのある職場環境を用意することで長く働いてもらえるようにしていく必要がある。
 離職してしまうオペレーターの中には、現場の人間関係に問題を抱えていたケースも多いため、管理者にはそのような問題を解決していくためのコミュニケーション能力も求められる。管理者の教育は非常に重要だ。風通しのよい職場になると定着率が上がり、定着率が上がると品質も上がる。
 施設環境や制度の面でも「働きやすさ」を推進している。時短勤務の対象期間もお子さんが小学校4年生になるまでに延長したほか、子どもを連れたまま出勤できる仕組みを検討している。
 現場発の取り組みもある。沖縄のセンターでは、子育て中の母親オペレーターが情報交換しあえるようなサークル活動が行われており、産休明けに復帰しやすい環境作りを進めている。産休後の職場復帰率が9割近くになったこともあり、同様の取り組みを各地のセンターでも進めていきたい。

 ーーー時給単価は上がっているか。

 年に3%のペースで時給は上がっている。人件費の上昇分は、基本的に価格に転嫁するが、値上げに理解を示してくれるクライアントも比較的多い。ただ、人件費増に伴う値上げに納得していただくためには、より高度で効率的なサービスを提供していく必要がある。品質向上に向けた企業努力を示すことが重要だ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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