【コールセンター】 〈インタビュー〉KIZUNA 長船亜由美副社長執行役員、原田乃生子カスタマー大橋センター長、浅津佐希子カスタマー久留米センター長/KIZUNAらしさでKPI達成

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(左から)浅津佐希子カスタマー久留米センター長、長船亜由美副社長執行役員、原田乃生子カスタマー大橋センター長

(左から)浅津佐希子カスタマー久留米センター長、長船亜由美副社長執行役員、原田乃生子カスタマー大橋センター長

 通販事業のワンストップ支援を行うKIZUNA(本社福岡県、松永高徳社長、(電)092―557―1180)のコールセンター事業における強みは、「お客さまのファン化力」「KPI達成力」「低離職率」に集約される。その背景にあるのは、スタッフ同士の「仲間を想う心」だという。現場のスタッフの良好な関係性が、顧客への対応にも表れ、高い実績にもつながっているようだ。同社の長船亜由美副社長執行役員と、現場を切り盛りする、原田乃生子・事業本部カスタマー大橋センター長、浅津佐希子・事業本部カスタマー久留米センター長に話を聞いた。

 ─御社のコールセンター事業の強みを、現場のお二人から聞きたい。
 原田 当社の強みは、商品調達から広告、注文受付、受注処理、物流まで、すなわち通販の入り口から出口までのサービスを、ワンストップで提供できること。先の展開まで見据えてカスタマー業務のサービス提案を行うため、クライアントにとって最適なサービスが提供できる。
 浅津 私は、当社のコールセンター事業の最大の強みは、「仲間想い」のスタッフがたくさんいることだと考えている。一番近くの仲間を大切にできないようでは、お客さまも大切にできない。当社では、新人が困っていると、必ず誰かが手を差し伸べる。スタッフが「仲間を想う心」でつながっているため、雇用形態にかかわらず離職率が低い。だからこそ、充実したサービスを提供できる。当社では「15の社員ステートメント」の中で「仲間を想う心」「絶対に独りじゃない」を掲げており、末端まで浸透している。
 相手を思いやる気持ちの有無で、接客も変わる。お客さまから例えば「入院をしていた」とお聞きしたときにも、気持ちがあれば、お体をいたわる言葉が自然と出る。お客さまの要望をかなえるため、ルールにない特例措置をクライアントに打診することもある。思いやりの心で接客できているスタッフは、数値目標としての、解約阻止率を始めとしたKPI達成率も、おのずと高くなる。
 ─通販企業が重視する解約阻止率を高める工夫は他にあるか。
 原田 スタッフには、お客さまから言われた表面的な理由のさらに向こうにある本質的な問題について引き出すよう指導している。「お金がないから」と言うお客さまも、よく聞くと別の悩みを抱えている場合がある。お客さまの言うことを一度受け止めつつも根本的な悩みを引き出すよう心がけている。また、薬剤師が常駐している強みを生かし、医薬品通販においては、踏み込んだ対応で安心・信頼を醸成し、継続促進に貢献している。
 浅津 KPIの達成率が上がらないときは、コールの音声をフィードバックしながら指導するなど早めに対応している。スタッフの気持ちのケアも大切で、個々に目を配り早めのケアを心掛けている。忙しい中でも、当たり前のことを愚直に実施していくことが強い組織を作る第一歩。それが数値にも反映されている。
 ─さて、昨年のインタビューでは20年4月期は売り上げ拡大を追求せず利益を重視すると聞いていたが直近の業績は。
 長船 当初のもくろみ通り、20年4月期の売上高は前期比横ばいの約10億円で、利益は倍増した。今期は逆で、利益を下げてでも将来に向けた投資を行っていく。
 ─どのような方向で投資を行うのか。
 長船 これまで当社の強みは、ワンストップで通販を支援することだと捉え、強化に取り組んできた。今後は、各々のサービスにも、KIZUNAらしさを出していき、各領域の専門企業にも負けないサービス提供を行っていきたい。そのための人の採用、良い人材を確保するためのフロア増床による職場環境改善、新サービスの構築に、投資を行っていく。
 コールセンター事業では、一つにはコールセンターの席数の増加に取り組んでおり、40席だった大橋のセンターを60席に増やす。一方で、KIZUNAらしいAIチャットシステムの構築に取り組んでいる。当社のコールセンター事業では、単に聞かれたことに答えるのではなく、お客さまの気持ちに寄り添った接客を行っている。その接客ノウハウをAIチャットに落とし込みたい。
 浅津 AIチャットシステムの開発は私が担当しているが、お客さまの言葉尻を捉えるのではなく、お客さまの具体的な悩みを引き出す接客を、AIで実現する方法を考えながら開発している。
 ─運用開始時期は。
 長船 すでにシステムは組みあがっており、現在実証実験を進めているところだ。「人だからこそできる感動接客」を、AIの無人接客で実現できるようにしたい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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