【富士通コミュニケーションサービス 津江好美CSL University 統括部長(日本コンタクトセンター教育検定協会・副理事長)、ソリューション本部(CXアンドマーケティングサービスBG) 大濱広寿ゼネラルマネージャー兼第七事業部長】〈研修内容の間口拡大〉多様な業容にも柔軟に対応

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 富士通コミュニケーションサービス(本社東京都、山本享史社長)は2019年、社員教育を手掛ける「CSL University」を立ち上げた。従来行っていた研修はコンタクトセンター業務に特化した内容だったが、人工知能(AI)・RPAなどIT・デジタル分野の進化および対応する業容の多様化を受け、研修内容の間口を広げた。今後は研修体制も刷新し、全社としてスキルマップの再定義を行う計画だ。津江好美CSL University統括部長・日本コンタクトセンター教育検定協会副理事長と、大濱広寿ソリューション本部(CXアンドマーケティングサービスBG)ゼネラルマネージャー兼第七事業部長に教育体制の強みを聞いた。

 ─05年から社内研修制度として開始した「CSL Colleage」を「CSL University」に変更した理由は。
 津江 「CSL Colleage」を設立したのは、コンタクトセンター業務のプロを育成したい狙いがあった。当時は研修も体系化されておらず、働く人の背中を見て業務を覚えていた。
 われわれの仕事で一番重要になってくるのは「人」の力。会社としてもっと大きく成長するためにも、入社研修からその後のスキルアップ研修までを担う組織を構築する必要があった。教育に投資し「人」を育てることは非常に大切なことだ。
 今回「University」と名称を変えるのは、コンタクトセンターのプロとしての側面だけでなく、一人のビジネスマンとして対応できる業務を増やすことが目的としてある。
 弊社はオンサイト業務の引き合いも多くお客さま先での業務も多い。加えて、顧客満足度を高めるためには環境の変化に柔軟に対応できる人材が必要だ。
 研修内容によっては部分的に人事部が管轄しているものもあったが、これをひとくくりにして「University」が担い、教育基盤を強固にした。
 ─具体的にどのような研修を行うのか。
 津江 入社時、すべての社員が必須で富士通コミュニケーションで働く上での心構えを聞いた上で、電話対応の基礎を学ぶ。
 ビジネス研修としてAIやRPAなどの最先端の技術知識を会得してもらうために、統計基礎やアナリスト養成講座などを開講している。デジタルシフトの流れに乗って、対応の幅を広げることは他社との差別化にもつながる。顧客満足度調査の分析方法なども研修で学び、データ分析などのIT分野を今後の強みとしていきたい。
 研修は社内だけで完結するものではなく、外部研修も活用する。仮想化(バーチャライゼーション)など社内の教育部隊だけで難しい分野は、同じグループ内の富士通がリソースを持っている。グループとしての連携を有効活用し、個々人の学びにつなげる。
 ─通販分野での品質向上に向けた取り組みは。
 大濱 健康食品の窓口業務において、クライアント先のお客さま目線の対応ができるように心掛けている。商品を実際に購入して試すなど、自発的に勉強し最終的にはその商品のファンになるスタッフが非常に多い。商品に愛着を持つことが、顧客対応を行う上で大切だと強く感じている。
 研修内容として、ダイレクトにこれを教えるといったものは現状少ないが、研修体制が整い、主体的に学ぶ環境が整っていることは、社内の士気やモチベーションの向上に一躍買っているのではないか。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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