【コールセンター】 〈インタビュー〉NTTマーケティングアクト 横山桂子社長/企業価値向上につながるサービスを提供

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 NTT西日本グループでコンタクトセンター事業を行うNTTマーケティングアクト(本社大阪府、横山桂子社長、(電)06―6450―5460)は、AIによるVOC(顧客の声の収集)サービスの提供など、先駆的な取り組みを推進し、顧客を獲得している。同社の代表取締役社長に昨年6月に就任したのが横山桂子氏だ。「VOCやチャットボットといったツールを単に提供するだけではなく、サービス導入の全体像をデザインし、ツールの効果的な使い方までアドバイスできる企業でありたい」と話す横山社長に話を聞いた。

■アワードで3冠達成

 ─昨年6月の社長就任後に変えた点は。
 大きく方向性を変えてはいない。ただ、先を考えたとき、人手を肩代わりする仕事には限界がある。人手を介さずにいかにビジネスを展開できるかが今後の成長のポイントだ。前社長が植えてくれたAIなどの種を、引き継がせてもらっている。就任1年4カ月で手応えを感じている。現在の顧客に多いのは、通販関係や公共関係。こうした分野を伸ばしつつ、業種の幅、仕事内容の幅を広げていきたい。

 ─直近の業績は。
 19年3月期は、前期比6.3%減の1012億8500万円だった。NTTグループ内の受注が自然減となり全体で減収となったが、事業を廃止した電話会議システム事業を除くと、外部向けの売上高はむしろ成長が続いている。NTTグループ内でも当社は成長分野と考えられており追い風が吹いている。若い優秀な人材を配置してもらえており新分野に挑戦できる体制が整ってきている。20年3月期は、外部向けの売上高が前期比8%の増収になる見通しだ。

 ─成長分野は。
 成長著しいのはデジタルマーケティング(以下デジタル)分野だ。20年3月期のデジタル分野の売上高は、前期比2~3倍に伸びる見通しだ。

 ─デジタル分野の具体的な内容は。
 VOCとその分析、FAQ作成、チャットボット、有人チャットなどからなる。複数のサービスを組み合わせることも多い。19年2月に新設したコンタクトセンター「MiraiZ(ミライズ)松山」は、デジタル分野の粋を集めたプラットフォームとなっている。有人チャット、チャットボット、電話の各対応を組み合わせて提供可能。電話については、最新鋭の音声認識技術を導入。音声をリアルタイムでテキスト化し、気になるキーワードを自動表示させたり、FAQのレコメンドを行ったりすることも可能。デジタルから電話対応までシームレスに対応できる。お客さまに、センターに視察にお越しいただければ、AI活用を理解・体験してもらえる。そのことが、サービスの導入にもつながっている。
 なお「コンタクトセンター・アワード2019」では、MiraiZ松山で、クライアント企業のバッファロー社さまと連携して行った、LINE・チャットを有効活用する取り組みが、センター表彰部門で「テクノロジー賞」を受賞した。オペレーション分野の個人MVP「リーダー・オブ・ザ・イヤー」と、マネジメント分野の個人MVP「マネジメント・オブ・ザ・イヤー」をそれぞれMiraiZ松山のスタッフが受賞。MiraiZ松山が3冠を達成した。

 ─貴社のVOCではどんなことが可能か。
 例えば、顧客企業が新サービスをリリースした際に、顧客との電話の生の声を全件分析し、売り上げアップにつながる要素を抽出することが可能。どんなトークが売り上げアップにつながるかといったことが分かる。ハイパフォーマーのトークをベンチマークした上で、どういう言葉をはさみ込めばいいか、どういうタイミングでどういう言い回しをすればいいかといったことを具体的に分析できるため、トークスクリプトに落とし込み、汎用化できる。
 VOCの導入によって、顧客が商品・サービスに対して持っている意見を収集・分析、消費者の意外な視点に気づき、商品の訴求方法や提案方法の改善につながったというケースもある。これまで「聞き捨てていた」情報を、経営・商品・サービスの改善に有効活用できるようになる。
 リアルタイムVOCの導入効果としては例えば、化粧品会社が導入し、注文内容の処理時間を68%削減、応対メモの要約時間を14%削減できた事例がある。ある家電メーカーではクレーム発生率が30%削減した。

 ─他社のAI関連サービスと、貴社サービスの違いは。
 当社のサービスの特徴は、VOCやチャットボットといったツールを単に提供するのではなく、常にサービス導入の全体像をデザインし、ツールの効果的な使い方までアドバイスできる企業でありたいと考えている点にあるのではないか。クライアント企業さまからは「社長の指示でとりあえずAIを導入することになった」とご相談いただくケースもある。そんな場合でも当社では、「何のために」「どんな風に」サービスを使いたいのかをヒアリングし、全体像をデザインした上で、個々のサービスを提案している。AIのようなツールを、「流行りだから」と導入したはいいが、使い方が分からず、準備にやたら手間ばかりかかる、といったことでは意味がない。当社では顧客企業の企業価値の向上につながるサービスを提供させていただいている。プロフィットセンターとしてのコンタクトセンターを、仕組みとともに提案させていただいている。

 ─多言語化サービスの進捗は。
 音声認識による多言語化サービスについても、技術的には実用化段階には進んでいるが、現時点の市場ニーズは、マルチリンガル者の有人対応の方が大きい。そのため、現在は有人対応の方に注力しており、10カ国語に対応できる体制を整えている。チャットの方が多言語対応のニーズが高いため、チャットについては有人・無人とも、英・中・韓の3カ国語に対応できるようにしている。

 ─業界の人材不足について考えは。
 もともと離職率は低い方だが、時給制から月給制への移行、エリア限定正社員の導入など取り組みを進めている。リフレッシュルームを整備するなど、働きやすい環境づくりにも取り組んでいる。4月に当社として首都圏初のアウトソース型センターとして新設した、池袋のセンターについては、今のところ、離職者がゼロとなっている。スタッフが「自分たちのセンター」と感じることが大事だと考えており、「MiraiZ松山」といったセンターのニックネームも、現地のスタッフから公募して決めた。


■外部向け売上倍増へ

 ─今後について。
 外部向けの売上高を、現在の倍に伸ばしたい。外部向けの売上比率を全社売上高の6割まで高めたい。成長を加速するため、スキルがある人を中途採用するスペシャリスト採用も推進する。すでにセンターの立ち上げ人材などで採用している。
 20年3月期の下期から来期にかけては、カスタマージャーニーの設計といった、ウェブ中心のデジタルマーケティングも強化していく。具体的には、MA(マーケティングオートメーション)とDMP(データマネジメントプラットフォーム)を組み合わせ活用したCX(カスタマーエクスペリエンス)ソリューションの提案を強化する。
 リコールなど緊急対応のソリューションをパッケージ化した商品の発売も近々に予定している。機器の設置、交換、設定変更といったところまでをセット。アマゾンコネクトのサービスを活用しセットアップが行える。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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