【コールセンター】 〈インタビュー〉WOWOWコミュニケーションズ 大高信之代表取締役社長/消費者の気持ち・熱量を収集・蓄積・分析

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 WOWOW(ワウワウ、本社東京都)の子会社で各種コンタクトセンター業務を行うWOWOWコミュニケーションズ(本社神奈川県、大高信之社長、(電)045―683―3660)は6月14日付で、大高信之氏が代表取締役社長に就任する人事を行った。大高氏はWOWOWの常務を務めていた人物。同社はこれまで、WOWOWのコールセンター業務で培った、?消費者の気持ちを汲み取る?サービスを武器に業績を拡大させてきた。新社長に、就任の抱負や、今後の方向性について聞いた。

■ファンの本音分析も

 ─まずは就任の抱負を。
 CX(カスタマーエクスペリエンス)の重要性が注目される中、コンタクトセンターも、経営上の重要な役割を果たすものとして認識されるようになっている。そんな中、WOWOWコミュニケーションズらしさを生かし、お客さまの要望に応えることで、コンタクトセンターとしての重要な役割を果たし、成長を遂げていきたい。もう一つの思いとして、当社のスタッフが、楽しく、充実して働けるような環境づくりをしていきたい。どんな素晴らしいツールも、それを使うのは人だ。人を大切にすることを中心に据えたい。

 ─直近の業績について聞きたい。
 19年3月期の売上高は、前期比15・7%増の89億1700万円と大きく伸びた。WOWOW関連の業務がそのうち半分を占めており、もう半分が外部からの売上高となっている。外部の企業が、新たな営業展開に当社サービスを利用いただけるケースが増え、増収の要因となった。インバウンドだけでなく、アウトバウンドも伸びた。

 ─貴社サービスが顧客から支持されるのはなぜか。
 顧客企業からの支持の根底に、受託した仕事をしっかりと一つ一つ行うことによって得た信頼感があることはいうまでもない。その上でやはり、会員ビジネスを展開するWOWOWからの仕事を受ける中で、築き上げてきた手法が評価されているのだと感じている。特に、お客さまの気持ち・熱量を収集・蓄積・分析するといった点が当社の強みだ。そういった強みを生かしたコンサルティングも行っており、先方の営業の懐に入った動きができているのが良いのかもしれない。デジタルマーケティングの分野でも、顧客企業のデータを分析し有効活用することを提案できており、分析関係の事業も伸びている。DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を使って何かをしたいという企業も増えている。

 ─最近の取り組みについて聞きたい。
 顧客企業の商品・サービスの熱心なファンに対してアンケートなどを行い、声を収集・分析する「ファンボイス」という取り組みを3年前から行っており、今期から外部向けの販売を本格化している。一般的には「やめる」理由を調査するものが多い。しかし、ファンボイスでは、熱心なファンの本音を分析する。新商品や新サービスの開発はもちろん、顧客のエンゲージメント向上に大きく貢献するサービスだ。
 今年9月には、CENTRIC(本社東京都)と協業し、音声感情解析技術を応用した実証実験を開始した。顧客の深層心理の把握によるセールスアプローチの効果検証を行う。イスラエルで生まれた技術を用いており、世界中で高い評価を得ていると聞いている。応対品質の向上や、消費者の契約率の向上などにつながると期待している。今年度中は、実証実験を行い、結果が得られれば本格リリースという流れになる。もちろん進捗状況で、実証実験を延長する可能性もあるし、精度を優先するため、後ろはあえて決めていない。

 ─デジタル化の波の中で戦略は。
 AIの活用の実験は進めている。例えば、通話中のオペレーターの画面に、AIで自動的にFAQを表示するといったことだ。熟練度の低いオペレーターでも高品質な応対ができるようになると期待される。それ以外にもさまざまな側面からAI活用の検討は進めている。AIによる音声認識にも取り組んでいるが、まだ課題は残っている。ひとまずは、オペレーションの部分の導入が早そうだ。

 ─AI導入はいつごろになりそうか。
 来期にAIをどこまでどう入れるか、という点を、実用性やコストとの兼ね合いも考えながら検討している。すでに、一部のオペレーターにとってはAI導入が役立つことが分かっている。AIの導入は、研修期間中の退職をはじめとした、早期退職者への対策になるかもしれない

 ─人材不足への対応についてはどうか。
 当社では、全社横断の企業内研修機関「WOWCOM College」を設置し、人材教育を行っている。研修制度をさらに充実させることが、継続率の向上につながるのではないかと考えている。教育制度だけでなく、優秀者の表彰制度なども充実させ、モチベーションアップを図っていきたい。一方で、RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)やBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールなどの活用を推進することにより、業務の生産性を高め、人材不足を補っていきたい。


■ノンボイスに注力

 ─今後については。
 今後は、チャット接客に代表されるようなノンボイスの部分に注力していかないといけないと考えている。その一環として今年度から、関西のセンター内に、チャット業務に特化したチャットセンターを開設した。各部署で行っていたチャット業務を1カ所に集約した。集約することによって熟練度が高まり、生産性の向上につながると考えている。

 ─20年3月期の業績目標は。
 詳細はオープンにしていないが、数%の増収を目指している。デジタル部門や外部企業への販売を伸ばしていきたい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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