消費者庁が公表した資料によると、14年度(14年4月―15年3月)の景品表示法に基づく法的措置件数(措置命令件数と都道府県の指示件数を合算したもの)は前年度比で激減、過去10年間で最も少ない数字となった。14年12月に施行された改正景表法で、都道府県に指示の権限がなくなったことが影響したようだ。ただ、消費者庁では景表法に基づく監視体制を強化し続けているという。さらに、改正景表法では、都道府県にも措置命令の権限が付与されたことから、今後、取り締まりは厳しさを増すことが予想される。
消費者庁が公表した、14年度の景品表示法に基づく法的措置件数は、前年度より76件少ない33件となった。14年度の法的措置件数の内訳を見ると、国(消費者庁)の措置命令件数は前年度より15件少ない30件に、都道府県の指示件数は同61件少ない3件に、それぞれなっている。
13年度に比べて、法的措置件数が大幅に減少した要因の一つは、ホテルなどの食品メニューの虚偽表示問題が13年度中に社会問題化したことにある。
消費者庁が14年度に実施した景表法違反被疑事件の調査件数は前年度比で226件少ない642件だった。
食品メニューの虚偽表示が社会問題化したことにより、13年度は調査件数が増加。それに伴い、法的措置の件数が伸びた側面もある。
北海道の13年度における指示件数は36件あったが、これはすべて食品メニューの偽装表示問題関連だった。北海道の14年度の指示件数は0件だった。
ただ、都道府県の指示件数の大幅な減少は、食品メニューの虚偽表示問題だけが要因ではない。14年12月に施行された改正景表法で都道府県には指示の権限がなくなったのだ。
一方で、この改正景表法で都道府県には、消費者庁のみに限られていた措置命令の権限が付与された。措置命令を行うには、指示を行う場合よりも入念な調査を実施する必要があるため、相応の準備期間が必要。そのため、いまだ都道府県による措置命令は実施されていないのだという。
(続きは「日本流通産業新聞」7月2日号で)
【ニュースの深層】□□54 〈消費者庁、景表法措置件数の推移〉/法的措置件数減少も取り締まりはより厳しく
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