【太陽光に逆風】 3月に中堅訪販2社が倒産

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破産した創造ホールディングスは近年、施工研修事業や発電事業などにも取り組んでいた(写真は研修施設「創造カレッジ」の外観)

破産した創造ホールディングスは近年、施工研修事業や発電事業などにも取り組んでいた(写真は研修施設「創造カレッジ」の外観)

 住宅用太陽光発電システムの訪販業界で淘汰が始まった。3月上旬に中堅訪販2社が相次ぎ破産。販売競争の激化と市場縮小の影響で、販売会社の収益率悪化が深刻化している。今年4月以降は住宅用太陽光発電の電力買い取り価格が下がることから、市場環境は厳しさを増す見通し。訪販各社は生き残りを図るため販売手法の見直しや商材の切り替えを急いでいる。

創造HDが倒産

 東北地方で最大手の創造ホールディングスは3月11日、破産手続を開始した。負債総額は6億6564万円。同社は98年に創業し、グループ6社で訪問販売や施工受託、工事担当者の研修事業などを手掛けていた。
 民間調査会社によると13年7月期の売上高は約30億円だったが、競合の増加や市場縮小などで販売に苦戦。14年7月期の売上高は約18億円に減少している。
 近年は施工研修事業や発電事業など、訪販以外にも事業を広げ、経営基盤の安定化を図っていた。
 しかし、本業の訪問販売の競争激化で利益率が低迷し、財務基盤が脆弱(ぜいじゃく)だったことに加え、今年1月に元役員が逮捕されたことで体外的な信用を失い資金繰りに行き詰まったようだ。
 大阪を拠点に訪問販売を手掛けていたリベルテも3月5日付で破産手続に入った。事後処理を担当している清水直法律事務所によると、同社の14年10月期の売上高は54億円だった。
 同社は09年12月の創業。82年生まれの上津昇司社長は、創業5年で急成長を遂げていた。
 ただ、急成長の一方で販管費や仕入れコストも急増。近年は自転車操業に陥っており、最後は資金繰りに行き詰まったという。


迫る「4月の崖」

 住宅用太陽光発電の訪販市場は、ピークだった12年で年間約4000億円規模だった(本紙推定)。ただ、その後は縮小基調が続いており、最近は販売に苦戦する訪販会社も目立つ。
 15年度は住宅用太陽光発電業界に一層強い向かい風が吹きそうだ。
 4月以降、新たに設置した住宅用太陽光発電の電力の買い取り価格は前年度比2~4円安い1キロワット当たり33~35円となる。一般的な家庭が太陽光発電を設置した場合の売電収入は約1割減る見通し。
 電力の買い取り価格は毎年引き下げられているが15年度の下げ幅は過去最大規模。売電収入が減るため、4月以降は住宅用太陽光発電の需要が減退する可能性がある。

(続きは本紙3月26日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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