経済産業省 〈EC市場は18兆円、EC化率は6.2%に〉/「海外と比べ伸び悩んでいる」との意見も

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 経済産業省は5月16日、18年の消費者向け(BtoC)EC市場規模が前年比8.9%増の17兆9845億円だったと発表した。BtoC―ECの物販系分野におけるEC化率は同0.43ポイント増の6.2%となった。一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会(JECCICA、本部東京都)の川連一豊代表理事は、「海外と比較すると成長率は伸び悩んでいる」と指摘する。


■物販系は9.3兆円

 18年のBtoC―ECにおける物販系分野の市場規模は、同8.1%増の9兆2992億円だった。伸び率は0.6ポイント増となり、成長は加速している。ただ、EC事業者の増加やECに対する取り組みの拡大に対して、EC化率は思うように伸びていないという指摘もある。
 「シンガポールはEC化率が8%を超え、日本のEC化率を追い越しました。日本国内では宅配会社の運賃値上げ問題が大きく響いています。ユーザーは送料無料を求めているが、EC事業者は運賃値上げに苦しみ、板挟みです。ECモールのポイント施策やクーポン合戦も、EC事業者の競争力を弱める要因になっている」(川連代表理事)と見ている。
 大手企業のEC展開が進んでおり、中小零細企業のEC事業の競争力も低下しているという。


■スマホ比率は39%

 商品カテゴリー別のEC市場規模では、「生活雑貨、家具、インテリア」が同8.5%増の1兆6083億円となり、最も高い伸び率を示した。「生活雑貨、家具、インテリア」以外に物販系全体より高い伸び率を示したのは、「食品、飲料、酒類」「書籍、映像・音楽ソフト」「化粧品、医薬品」だった。
 物販系分野のEC市場におけるスマホ比率は、同4.3ポイント増の39.3%になった。シニア層のスマホ保有比率が高まり、スマホECの裾野が拡大しているといえる。


■中国越境ECは18%増

 企業向け(BtoB)EC市場規模は同8.1%増の344兆円2300億円に拡大している。EC化率は同0.8ポイント増の30.2%だった。
 中国や米国向け越境ECの市場規模は、2桁成長を続けている。中国向け越境ECの市場規模は同18.2%増の1兆5345億円、米国向け越境ECの市場規模は同15.6%増の8238億円だった。


■フリマ市場は32%増

 個人間(CtoC)ECにおけるフリマアプリの市場規模は、同32.2%増の6392億円になった。BtoBとBtoCを含むネットオークションの市場規模は、同0.9%増の1兆133億円だった。ネットオークションが伸び悩んでいるのに対し、フリマアプリが高い伸び率を占めていることが分かった。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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