〈訪販化粧品各社〉 販売員の接客力の平準化推進/研修強化やアプリ活用の事例も

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ポーラユニバーシティーの販売員研修の様子

ポーラユニバーシティーの販売員研修の様子

 訪販化粧品各社では、販売員の接客力の平準化を進める動きが目立っている。ポーラは19年1月、販売員の接客力の向上と平準化を目的とした専門の人材育成機関「POLA UNIVERSITY(ポーラユニバーシティー)」を設立した。エステ技術・美容知識と、マーケティング・マネジメント力の両方を持つ人材の育成を強化するとしている。ナリス化粧品でも近年、組織の拡大や報酬アップを目指す販売員に対して、美容知術・技術力・管理能力の各分野で一定の水準をクリアした人材を育成するための研修を行っている。こうした販売員の「美容のプロ化」を進める動きが活発になる一方で、新人の販売員向けに、専用のスマホアプリを開発し、販売員の接客能力の全体的な底上げを図ろうとする動きも出てきている。

■プロ人材の育成が目的
 ポーラは、1月に設立した「ポーラユニバーシティー」を、販売員であるビューティーディレクター(BD)を含めたスタッフ全ての人材育成における、最重要機関として位置付けている。全国の地域のセンター(BDを統括する拠点)で行っていた研修を、新研修機関によって、さらに体系化するのだという。
 これまで地域のセンターで行っていた研修を、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌の5都市と上海の学校で行うようにした。研修の対象となるのは約4万3000人のBDや、百貨店の販売員、海外店舗の販売員など、ポーラの販売にかかわるスタッフ全て。BDのポジションによって、研修の内容が異なる。約90人の専任のトレーナーが講師として研修に参加する。
 研修では、(1)エステやメイクなどの技術による「美容力」(2)「接客力」(3)傘下のBDの「育成力」(4)市場動向やマーケティングに関する「思考力」─の向上を図ることを通して、プロフェッショナル人材の育成を目指す。販売員の人間力の向上も目指すとしている。
 研修では従来に比べ、トレーナーによる一方的な座学を極力減らすという。BDらに課題を与え、解決策を発表し合わせるグループディスカッションのような内容が中心となる。商品知識やエステの技術などについては、座学での研修の前に、一人一人の参加者が、スマホアプリなどを活用しながら、空いた時間で勉強するのだという。BDには、所属するサロンの店舗で、アプリで学んだ内容を実践してもらい、知識を体で覚えてもらうのだとしている。
 座学の研修では、エステやメーキャップの技術の集中的な研修を行うのに加え、美容知識や顧客ニーズに関する理解を深めるため、ディスカッションを重ねる。研修後は、再びサロンにてOJTで、研修内容を実践してもらう。

(続きは、「日本流通産業新聞」2019年1月31日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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