〈通販企業〉 マーケターが社外で活躍/柔軟な雇用形態で優秀な人材確保

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 通販企業のマーケティング担当者(マーケター)が社外にも活躍の場を広げている。オイシックス・ラ・大地(オイシックス)で執行役員COCO(チーフオムニチャネルオフィサー)に就く奥谷孝司氏は9月、広告代理店大手の大広が設立したオムニチャネル支援会社「株式会社顧客時間」の共同CEO取締役に就任した。キャラクタービジネスのサンリオでマーケティング本部デジタル統括部部長兼CDO(チーフデジタルオフィサー)に就く田口歩氏は8月、新会社「イーリスコミュニケーションズ株式会社」を立ち上げ、代表取締役社長CEOに就任した。他にも社外に活躍するマーケターは増えており、このような敏腕マーケターはセミナーにも引っ張りだこだ。通販企業はマーケターの社外活動を認めることで、優秀な人材を確保できるとともに、社外で身に付けたノウハウを社内にフィードバックしてもらえる。さらにマーケッターの活躍の場が広がることで、自社の取り組みを社内外にアピールすることも可能だ。

 「働き方改革」が叫ばれる中、政府は企業に対して従業員の副業を認めることを推奨している。自由な勤務形態を推奨することで、ライフスタイルに合わせた働き方を実現したい方針だ。
 ただ、政府が主導する「働き方改革」は、過重労働の削減を目的としており、それぞれのビジネスパーソンの価値向上を目指した取り組みとはいえない。
 通販業界で活躍するマーケターは、所属企業の理解を得て活躍の場を社外に広げることで、自らの能力を高めている。社外で得た知見を社内にフィードバックすることで、所属企業にとっても新しい風を吹き込む存在となっている。

■通販で活躍が目立つ
 マーケターが活躍しているのは通販業界に限った話ではないが、特にECやオムニチャネルなどに携わるマーケターの活躍が目立つ。
 これはECやオムニチャネルを強化する企業が、プロのマーケターを積極的に採用しているからだろう。経験豊富な人材を起用することで、新規分野での成長スピードを高めたり、社内変革を促したりする効果を狙っているのだ。
 アパレルブランドを展開するDoCLASSE(ドゥクラッセ、本社東京都、林恵子社長)は1月、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)やガシー・レンカー・ジャパン(現ザ・プロアクティブカンパニー)、マードゥレクスなどで活躍した藤原尚也氏をCMO(チーフマネージメントオフィサー)兼web事業長に起用した。
 藤原氏はCCCで会員サービス「ツタヤオンライン」を立ち上げたり、ガシー・レンカー・ジャパンのデジタルマーケティング責任者として、事業拡大に貢献した後、コンサルティング会社のアクティブを設立した。
 独立後も化粧品ブランドを展開するマードゥレクスの取締役社長として辣腕を振るった。マードゥレクス退任後、ドゥクラッセの林社長にウェブマーケティングやオムニチャネル推進のまとめ役を打診された。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月27日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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