住宅リフォームや外壁塗装、太陽光発電などは住設訪販企業が販売する商材だ。商材の成長性をみると、それぞれのアイテムの市場には伸びしろがある。成長市場であるものの、減収による事業の縮小や消費者トラブルなどによる企業淘汰が相次ぐ。昨今は住設訪販の行政処分が目立ち、消費者庁の処分事例からは悪質な内容も目立っている。コロナ禍以降は、人材確保がこれまで以上に難しくなり、営業社員数と売り上げが直接的に関係する業界だけあって、人材の獲得が重要な課題となっている。売上拡大が見込めない訪販専業の「一本足打法」から脱却を図る動きもある。訪販だけでは売り上げが見込めないからだ。住設訪販が新たな局面を迎えている。
■変わりゆく市場感
電力を貯め、放出もできる家庭用蓄電池は5~6年前から住設訪販の成長を支えた商材の一つだ。太陽光発電との親和性や商材への注目度、価格の面などが訪販商材としてマッチしたのが広がりの要因となった=別表参照。
さらに温暖化対策の一環として二酸化炭素の排出量削減を目的に示された指標も追い風となった。
脱炭素の動きは、再生可能エネルギーの意識を高め、これらに貢献する商材として蓄電池が注目を集めた。蓄電池は今や個人向けから、法人向けにも需要を広げているのが現在のトレンドだ。
太陽光発電や蓄電池を販売する訪販企業は2018年以降、業績を急伸させたが、勢いは長く続かなかった。新規参入の急増は顧客の争奪戦や価格崩壊につながった。販売の拡大スピードに会社が追い付かず、組織の崩壊や社員の離脱を招く。さらには倒産や行政処分なども複数発生した。
20年から世界中で拡大した新型コロナや世界情勢の悪化、為替変動などの要因も直撃した。この影響は太陽光発電や蓄電池に限らず、塗料やリフォームで使用する建材や部材などの価格高騰も招いた。
エネルギー価格の高騰や物価高は、消費者の購買意欲を著しく低下させ、住宅設備の新設や修繕工事を後回しにする人が増えた。調達コストの上昇と、消費者の購買意欲の低下がダブルパンチとなっている。
ただ、厳しい要因ばかりでなく、プラスに働く要素もある。
一つは災害対策で再エネへの意識が再び高まっていることだ。天候や地震の災害が続いている中、電気やガスといった生活インフラ維持のための対策が関心を集めている。
(続きは、「日本流通産業新聞」9月5日号で)
【住設訪販業界】 成長市場も企業の淘汰目立つ/人材確保に課題、「脱・訪販」の動きも(2024年9月5日号)
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