〈特定商取引法の改正案〉 不当契約は返金/消費者庁 罰則強化の方針固める

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特商法の改正案の一部(行政処分に関する事項)

特商法の改正案の一部(行政処分に関する事項)

特定商取引法(特商法)の改正案の一部が明らかになった。業務停止命令の最長期間を現行法の1年から2年に引き上げるほか、訪販や電話勧誘などで虚偽説明などを行った場合、契約を取り消した上で事業者に顧客への返金を指示する規定を設ける方針だ。行政処分を受けた企業の役員が別法人を立ち上げることを一定期間禁止する規定も盛り込む。政府は改正案を今国会に提出し、年内の成立を目指す。

業務停止は最長2年

 特商法を所管する消費者庁は現在、消費者委員会・特商法専門調査会が昨年12月にまとめた報告書に基づき、改正特商法の条文の策定を進めている。
 消費者庁・取引対策課の桜町道雄課長は2月10日、不当勧誘を行った事業者に返金を指示する規定の導入などを検討していることを認めた。
 同庁の改正案では、業務停止命令の最長期間を現行法の1年から2年に延長する。法律違反を繰り返す事業者を長期間、市場から排除することが目的だ。行政処分を受けた企業の役員が業務停止期間中、同じ業種の別法人を立ち上げることも禁止する。
 業務停止命令によって営業を2年間禁止されれば、現実的には廃業を余儀なくされる可能性が高い。業務停止期間の基準は現時点では不明だが、事業者にとって行政処分の重みが増すのは間違いない。


契約取消期間は1年に

 悪質な事業者などによる高齢者被害に対応するため、不当契約の解約や返金を行いやすくする。
 訪販や電話勧誘販売、通販において、虚偽説明などにより消費者が不当な契約を結んだ場合、契約を取り消せる期間を現在の6カ月から1年に延長する。
 その上で、国や都道府県が事業者に返金計画の立案を命じ、計画通り返金するよう指示できるようにする。契約取り消しの実効性を高めるため、実際に返金されるまで行政が事業者を監視し、指示に従わない事業者は刑罰の対象とする。
 特商法の指示処分に関する規定を改正し、「購入者らの利益の保護や回復のための措置」を明記する方針だ。
 現行法では、指示処分に従わない事業者は100万円以下の罰金や業務停止命令の対象となっている。

続きは「日本流通産業新聞」2月11日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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