【こだわりの逸品を全国展開 特産品EC】第82回 〈パン専門ECサイト「アジアパン」〉/大正時代のビスケットパンを再現

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岡部久美子氏

岡部久美子氏

 戦後間もない1945年に群馬県前橋市で創業し、看板商品の「たまごパン」をはじめ地元の人々に愛され続けるパンを製造・販売している「アジアパン」。こだわりの「ふすまパン」も人気が高く、ネットショップを通して全国にファンを増やしている。代表の岡部久美子氏に聞いた。

◆変わらぬ味

 「アジアパン」創業以来、60年以上作り続けている「たまごパン」。大正時代に作られたビスケットパンの製法を再現したシンプルなパンは、「初めて食べても懐かしい味」が魅力だという。
 「創業者が修行時代に作っていたパンを改良して作り出したのが『たまごパン』。製法は変わることなく、パン生地の上にかぶせる皮は一つ一つ手で伸ばして掛けています。機械で伸ばして型を抜く方法では、味が全く違ってしまいます。やさしい甘さなのでそのまま食べもいいですが、バターやジャムなどをつけてもおいしく食べられるので、昔はお客さまのご要望に応じてパンに挟んでいました。しかし、30年ほど前に女子高生から『おばさん、生クリームつけて』と言われ、挟んでみたところ大変好評で、今では生クリームサンドが一番の売れ筋になっています」


◆こだわり・ヒット商品

 この店のこだわりは「安心安全なパンづくり」。新たな取り組みとして、「食べて健康に役立つパン」をコンセプトに群馬大学工学部と共同開発したのが「小麦ブランブレッド(ふすまパン)」だ。地元群馬県産の小麦「W8号」を100%使用し、ふすま(小麦の表皮)を入れることで、美容と健康にいい成分たっぷりのパンが完成。ネットショップで一番人気の商品となっている。
 「開発時、ふすま独特の香りが受け入れられるかという心配がありました。『もう少し甘く食べやすくできないか』という意見もあり、乾燥果実なども入れてみましたが、最終的に何も入れない今の形になりました。何も入っていないので、洋風な食事はもとより、きんぴらやひじきの煮付けなどの和食惣菜にもよく合います。気になっていた香りは、トーストして香ばしく食べていただくことで解消されました。お客さまからは、『これのおかげで朝が気持ちいい』『毎日食べている』という声もあり、大変うれしく思っています」


◆売れ行き

 ヒット商品「ふすまパン」はリピート率が高く、5本セットを定期的に購入する人も多い。焼きたてを急速冷凍しているので、お得なセットの購入が8割を占めるという。
 「現在ネット販売の注文数は、月平均で約30件。メディアで紹介されると問い合わせや注文が増えますが、特に『ふすまパン』がテレビ東京の『虎ノ門市場』で紹介されたときは反響が大きかったです。当店は街の小さなパン屋ですが、〝ここだけにしかないパン〟を強みとして、ネットショップで全国に発信し続けたいと思います」


〈運営会社概要〉
【運営】有限会社 アジア製パン所
【開設時期】2006年4月
【スタッフ数】2名
【ショップ形態】自社ショップ
【導入システム】なし
【配送委託先】ヤマト運輸

通常の食パンに比べ、食物繊維が約3倍、脂質が約1/4の「ふすまパン」

季節限定のクリームもあるという「たまごパン 生クリームサンド」

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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