繊維メーカーの帝人のグループ会社NOMON(ノモン、本社東京都)は、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)を配合したサプリメントのECを展開している。市場におけるNMNの認知度の高まりに比例して同社が展開するサプリの定期顧客数も倍増しており、9月度は欠品してしまうほどの好調な売れ行きだったとしている。高価格な印象の強いNMNサプリだが、同社では、製造工程の効率化を推進しており、10年以内に1万円台で提供できるようにしたいとしている。同社の山名慶社長に、NMNを使って目指す未来について聞いた。
■帝人が掲げる「老化と戦う」
─NMNという素材について、改めて教えてください。
NMNは、「老化を抑制する」ことが期待できる素材です。NMNは人間の体の中でエネルギーの源になる「NAD」という物質の前駆体です。「NAD」は加齢とともに減少しますが、マウスにNMNを摂取させた試験の結果、体内のNADを増やし、老化による機能の衰えを抑制できたことが報告されています。
NMNの有効性については、日本体育大学やワシントン大学で、ヒト臨床試験による研究が進められています。11月20日には、大阪大学医学部附属病院が、有効性検証試験の結果に基づき、「65歳以上の糖尿病患者の男性を対象にした、NMNの身体的フレイルへの効果の研究結果」を発表、「NMNを飲むと、歩行に好影響がある」旨が報告されました。もちろん、安全性についてのエビデンスデータもあります。
NOMONはもともと、帝人が創立100周年を機に、「人間は、老化と別れられるのか」というビジョンを掲げたことをきっかけに、スタートした事業です。帝人が次の100年に向けて、「人類にとって老化は必要ない。老化と戦う」という大きな目標を掲げたのです。
われわれが「抗老化」について掲げたビジョンは、「明確なエビデンスを備えた一般的な食品」を、多くの人に提供することでした。医薬品として提供しようとすると、開発に10~20年かかってしまいます。
NOMONについては、「肉体的、精神的、そして社会的に満たされた状態を長く作る」「健康寿命を延ばしていく」という意味を込め、「LIFE―IS LONG」というブランドメッセージを掲げました。そこで、「抗老化」の有効性が期待されているNMNを商品化したのです。
■10年以内に1万円台に
─NMNを使ったサプリメントは、商品価格が数万円のものが多く、消費者のニーズに合うのでしょうか。
(続きは、「日本ネット経済新聞」12月17日24日合併号で)
〈プロフィール〉
山名 慶(ヤマナ・ケイ)氏
1971年生まれ。奈良県出身。筑波大学人間総合科学科博士号取得。帝人に入社以来、20年以上にわたり医薬品研究に携わってきた。帝人ヘルスケア事業統括補佐として、ヘルスケア事業領域、特に新事業の創出(医薬品の研究開発や、医療機器の研究開発、国内外製薬企業との共同研究開発)を担当してきた。19年2月にNOMON代表取締役社長に就任した。
【NOMON(ノモン) 山名慶代表取締役社長】 〈NMN配合サプリメントをEC展開〉「抗老化」期待できるサプリを低価格で
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