Mizkan Holdings(ミツカンホールディングス、本社愛知県、中埜和英会長)は19年から、野菜を丸ごと使った食品ブランド”ZENB(ゼンブ)”を、ECを中心に展開している。「人と社会と地球の健康」が、同ブランドのコンセプトだ。同社では、これからの時代を担うのは、「おいしさ」だけでなく「健康」や「社会問題の解消」を求める消費志向を持つ若い世代だと考えたという。次の時代に受け入れられる食品としてZENBブランドを開発。テストマーケティングの一環として、ECで展開しているのだという。「新しい世代の需要をつかむには、まずは顧客とダイレクトにつながるべきだ」と、”D2C”の重要性を主張する、ZENBブランド責任者の石垣浩司執行役員に話を聞いた。
■ミレニアム世代が次の消費を支える
─ZENBブランドについて教えてください。
当社が中期経営計画で策定した「ミツカン未来ビジョン」の一環として生まれた、食品のブランドです。10年後の未来を見据えて開発したブランドで、企業の存続だけでなく、人や社会、地球環境を意識した、新しい食品です。同ブランドからは現在、野菜の茎から種まで丸ごと素材として使った、キューブタイプやペースト状の商品を展開しています。一部の販路以外は、ECサイト限定で販売しています。
ZENBブランドが生まれた背景には、市場の消費行動の変化があります。ミツカンは、実は海外事業の割合が非常に大きいのですが、食品のビジネスをグローバルに見たとき、ミレニアル世代やジェネレーションZといった、次の社会を支える若い世代が、次の消費も支えるということは明らかです。こうした世代は、「その商品やメーカーが社会や地球環境に配慮しているかどうか」という視点から、自らの消費行動を決めるといわれています。
北米では、スタートアップの食品メーカーが、新しい時代の生活者のニーズを捉えた商品を次々と開発しています。消費者志向の変化がきっかけで、老舗の食品メーカーが倒産に追い込まれたといった事例も報告されています。
市場の変化は、日本でも起きていると思います。これまで食品メーカーは、「おいしさ」を追求し続けてきました。効率的に食品の製造を行うため、技術革新を次々と進めてきました。ただ、そのことが現在では、摂取過多や供給過多になっているのではないかという懸念があります。
現在は、「本当に体にとっていいものは何か」ということが求められるようになっています。ミツカングループが10年後も事業を継続していくためには、生活者の需要を捉え、人、社会、地球環境にとって良いものを提供していくことが必要だと考えました。それを形にしたのが、ZENBなのです。
■D2Cでテストマーケを実施
─ECで展開する理由はなんですか。
(続きは、「日本ネット経済新聞」5月28日号で)
【Mizkan Holdings(ミツカンホールディングス) 石垣浩司 執行役員 新規事業開発マーケティングリーダー】 〈「人と社会と地球の健康」がコンセプト〉次の時代を見据えた食品”ZENB”を展開
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