中国EC市場の拡大が続いている。中国最大のECセールイベント「W11(ダブルイレブン)」における、中国ECプラットフォーム全体の累計売上高(24年10月14日~11月11日の売り上げを集計)は、前年(23年10月24日~11月11日の売り上げの集計)比26.6%増の1兆4418億元(約30兆円)となったと、ビッグデータ分析サービスを展開する星図数据(Syntun、シントゥン、本社中国)が発表した。特にライブ配信プラットフォームが急成長を続けているという。一方で、日本ブランドの中には、苦戦を強いられたケースも少なくなかったようだ。
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過去最長に
W11において、主要中国ECプラットフォームは概ね成長を遂げたという。一方、プラットフォーム各社は近年、実績の公開を控えるようになっている。
中国EC市場に詳しい、Nint(ニント、本社東京都)のNint上海・経営戦略担当を務める堀井良威氏は、「成長の背景には複数の要因があるが、要因の一つは、各プラットフォームのセール期間が伸びた点にある」と話す。例えば「天猫」では、セール期間を前年より10日長い、過去最長の29日間にした。「中国政府や地方自治体から、耐久消費財の買換需要促進施策として、中国の消費者に補助金が付与されたことも、消費を後押しした」(同)と言う。
化粧品は3%増
堀井氏によると、「今回のW11では、日本ブランドのスキンケア・メーキャップカテゴリーの売り上げは、1~3%のプラス成長となった。一方で、ベビーおむつや美容家電が2桁のマイナス成長となるなど、明暗が分かれた」(同)と語る。
高~中価格帯の化粧品・健康食品の展開を行うアクシージアは、美容サプリの販売が好調だったようだ。同社のW11での売上金額(GSV)は、前期比6.5%増で着地した。同社は中国主要ECに進出しているが、特に短尺動画EC「ドウイン(中国本土版ティックトック)」と、SNS型ECアプリ「RED(レッド)」で、それぞれ2桁の伸長率を記録した。「RED BOOK AXXZIA海外旗艦店」での売り上げは400万元(12月3日時点のレートで約8200万円)を突破したという。
■ライブコマースは54.6%成長
中国のライブコマースは盛況だ。星図数据の発表によると、「ドウイン」などのライブコマースプラットフォーム全体の合計売り上げは、前年比54.6%増の3325億元(約7兆円)になった。
(続きは、「日本ネット経済新聞」12月5日号で)
【中国EC市場】 「W11」は26.6%成長か/ライブコマース好調、日本企業は苦戦も(2024年12月5日号)
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