【食文化 萩原章史社長】<7月に本社機能を東麻布に移転> 気候変動の時代、生産者にネットワークを(2024年8月1日号)

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 「うまいもんドットコム」や「豊洲市場ドットコム」といった、フルーツや魚介などの生鮮食品のECを運営する食文化(本社東京都、萩原章史社長)は7月、本社機能を、東京・豊洲から東麻布に移転した。本社機能を移転した、新設の自社ビル「生涯現役の館」には、水素グリルや食に関わるイベントスペースを設置。あらゆる”食”に関する体験ができる場にする予定だという。医師や政治家、財界人と、優秀な食品の生産者をつなぐ場にしていくとしている。萩原社長は、「猛暑など、気候変動が止められない時代になった。数十年前と同じようには食品を生産できない時代になっていく。優秀な生産者が、これからの時代を勝ち抜けるよう、ネットワークを構築することができる場を作る」と話している。

リアルの精度を高める

 ─「生涯現役の館」について聞きたい。
 東京タワーにほど近い場所に、5階建ての本社ビルを建築した。本社機能を持たせるだけでなく、屋上には生き物がいる渓流も設けている。1階にはイベントスペースもある。釣り堀などをやったら面白いと思っている。水素グリルや、本格的なまき窯も設置する。”食”に関するあらゆる体験ができる場にしていこうと計画している。
 建物はすでに完成しており、7月に本社機能を移した。食の体験ができるおもてなしスペースも、年内には完成する見込みだ。
 「生涯現役の館」を作ったのは、一言でいえば、リアルの精度を高めるためだ。今後、AIの活用が主流になっていく。今まで人間が考えて形にしていたものの多くは、AIが作っていくことになるだろう。
 AIがあらゆるものを手掛けるようになっても、最後は人間が判断したり、新しいものを作っていったりする必要がある。”食”の領域で、人間のアイデアの精度を磨くために、「生涯現役の館」を作ることにした。
 「生涯現役の館」は、医者や政治家、芸能人、企業の経営者、行政関係者などに向けた、おもてなしの場として提供してく。富裕層の会員制のスペースとして使ってもらおうかとも考えている。
 東京タワーが見える都心で、魚を釣ったり、まき窯で肉を焼いたりするような体験は、新鮮なものとして価値を提供できるだろう。
 一方で、全国の一流の農家・生産者と、経営者や行政担当者が試食会などを通じて意見交換できる場にもしていきたい。
 ─なぜこのような場を作ろうとしたのか。
 優秀な生産者にとって、今後、「誰と出会うか」が重要になっていくと感じたからだ。一流の農家にとって、企業の経営者とのネットワークが重要な意味を持つ時代になっていくと考えている。
 コロナ禍の巣ごもり需要で、当社のECサイトは非常にニーズが高まった。現在、当社のECサイト「うまいもんドットコム」をはじめとした、当社のECサイトの、アクティブユーザー数は約30万人。延べでいうと90万人が登録している。当社のユーザーは、こだわりの食材を常に欲しがっている。
 当社は、豊洲をはじめ、肉・青果・水産の国内3大市場から商品を仕入れており、流通している、旬の食材を間近で目にしている。
 食品のトレンドを見ていて感じるのが、気候変動による価格の変動だ。

(続きは、「日本ネット経済新聞」8月1日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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