リクルートライフスタイルが運営する「ポンパレモール」は2019年7月、基本出店料を無償化した。出店者の負担を減らし、集客によりコストをかけられるようにするのが狙いだ。リクルートグループやPonta(ポンタ)ポイントとの連携を強化するとともに、新たな広告メニューの開発にも着手し、出店者の売り上げ拡大に貢献する。「ポンパレモール」の責任者であるリクルートライフスタイル・ネットビジネス本部事業開発ユニットの常泉仁志プロデューサーに戦略や注力ポイント聞いた。
─19年に注力した取り組みは。
7月1日から基本出店料を無償化した。全店にかかる固定費を廃止。従量でかかるシステム利用料や画像容量のオプション部分は残している。出店者の集客コスト負担を少しでも軽減することを目的に、大きな決定を下した。
他にも出店料を無償化しているモールがあるため、対外的に大きくリリースをしているわけではないが、出店に関する問い合わせ件数は増えている。今後、徐々に店舗数が増えていくと思う。既存店からの反応も良好だ。
─店舗の売り上げを伸ばすための施策は。
19年は消費増税という家計を圧迫する転換点があった。「ポンパレモール」ではキャシュレス・消費者還元事業に対応した。「ポンパレモール」だけでなく、「じゃらんnet」「リクルートかんたん支払い」も参画し、利用者にはリクルート全体のサービスで使えるポイントを還元している。
「ポンパレモール」の出店者の95%がキャッシュレス・消費者還元事業に該当する店舗であり、リリース前から問い合わせをいただいていた。効果については計測中だが、参画して非常に良かったと思う。
─ポイント還元などキャンペーン施策は。
19年1月にリクルートカードとのコラボキャンペーンを実施した。「ポンパレモール」においてリクルートカードで決済すると、ポイント還元率を高めるキャンペーンだが、想定よりも高い成果があった。19年12月にも「リクルートカードご利用感謝祭」を実施している。
「ポンパレモール」はポイントを持っているユーザーが、ポンタポイントを使いやすいサービスにすることを重視している。リクルートカードを利用しているユーザーはポイントを日常的にためていて、ポイントをたくさん持っている方が多い。1月に実施したキャンペーンは内部要因で1月になったが、本来は商戦期である12月に実施したかった。12月12日のキャンペーン開始から1週間が経過し(取材は12月18日)、直近の実績では平常時の1・6倍くらい流通額が伸びている。
12月19日から毎月のポイント還元キャンペーンも始まり、ポイント還元率は20%まで高まる。さらに流通額が伸びるだろう。
─ポンタポイント利用者を取り込む取り組みは。
19年9月にポンタの公式アプリ内に「ポンパレモール」への導線を作った。ポンタポイントが使えるサービスとしてユーザーに利用を促している。アプリにリアル店舗への導線はあったが、ネットで使えるサービスへの導線は初めて。サービスを提供するロイヤリティマーケティングさんもポンタアプリの普及に注力しており、今後さらにアプリからの流入に期待が持てる。
─20年に注力することは。
ユーザー向けには新しいキャンペーンや特集企画にチャレンジしていきたい。これまで定番のポイント還元キャンペーンを毎月実施してきたが、全商品に対して定率で還元する以外のキャンペーンもリリースしたい。
出店者向けには少額で始められる広告メニューの開発に力を入れたい。現在は枠売りといわれる広告がメインだが、少額かつ効果に合わせて購入できる広告メニューの導入を検討している。
【Eコマース業界地図〈「ECモール&プラットフォーム編」〉】 〈ポンパレモール〉リクルートライフスタイル 常泉仁志プロデューサー/出店料無償化、新たな広告も開発
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