ネットショップの運営代行やコンサルティングを手がけるワンプルーフ(本社東京都、平山和泉社長、(電)03―6383―4412)は、メーカー・ブランドの「D2C事業」を進化させる取り組みを加速させている。ECと店舗運営の連携や、チャネルに合わせた商品開発、さまざまなチャネルから収集した顧客データの有効活用といった、D2C特有の業務の支援を行うという。同社の仲村和浩取締役に、「D2C事業」で提供する支援について話を聞いた。
■顧客データでチャネル横断
─「D2C事業」では、どのような支援を提供するのですか。
ECと店舗の連携や相互送客、チャネル横断的な商品開発など、直販が成功したメーカーが取り組むべき次のアクションを支援するサービスを提供し、さまざまな角度からのマーケティングを支援します。
当社はこれまで300社近いメーカーのECのコンサルをしてきました。ジャンルに限らず多くのメーカーが、従来行なってきた小売店への卸とは別に直販をすることで、自社独自の流通を作りたいと考えています。同時に、従来の小売店との関係や、直営店舗での販売を守りたいとも考えています。両方を実現するのが「D2C」という考え方です。これまで主に小売事業者が行ってきた、シンプルに拡販を目指す従来の考え方とは異なります。
小売店への卸と差別化したEC直販を展開し、顧客の声などのデータを集め、チャネル横断的な商品開発を行って、相互送客を行うのが、「D2C」です。当社が過去に支援を行って成功してきた事例のノウハウを生かし、D2C事業を支援します。
■直販の付加価値を武器に
─過去にどんな成功事例があるのですか。
例えば、日用品雑貨のメーカーでは、10年以上前からECで直販を行って顧客の要望を収集してきました。顧客の声を生かした商品開発を続けてきたところ、3~4年前から売り上げがそれまでの数十倍に増加したという例があります。
ある洋菓子メーカーでは、ECでさまざまな季節のフレーバー商品を開発して展開してきました。ECで売れるようになり、レビューでも人気が高くなった商品を、店舗で「定番商品」として展開したところ、店舗でも売れたという事例があります。
これまで問屋や小売店への卸が主な販路だったメーカーは、公式のECサイトでさまざまな挑戦ができます。
例えば、従来品よりもあえて価格が高い商品を公式サイトで展開する代わりに、専門のコールセンターや専用のノベルティーを用意するなど、付加価値をつけたサービスを提供します。小売の流通よりも保証期間を長く設定したり、訳あり商品をわざと開発したりといった方法もあります。型番商品であれば、型落ち品をあえて定価で販売するという手法も有効です。
メーカー直販ならではの付加価値を武器に、小売の流通と差別化した直販を行うことで、ユニークな顧客の声を集めることができます。そこで集めたデータを使って、チャネルを横断して展開できる商品開発を行うことができるのが、「D2Cブランド」だと考えています。
顧客の声はEC以外でも収集できます。最近では、ハイブランドの洋服や家電メーカーが、顧客とのタッチポイントの創出を目的に、カフェを展開する事例が増えています。ブランド認知の施策であるとともに、顧客の声の収集や既存のファンとの交流など、各社にそれぞれ狙いがあります。
当社では、こうした新たなマーケティング施策を模索しているメーカーに対して、D2Cのブランディング施策を提供していきます。
【特集 イチ押し支援サービス】 〈インタビュー〉ワンプルーフ 仲村和浩取締役/メーカーの「D2C事業」を支援
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