【医療用医薬品のEC】コロナ後もジワリ拡大/アマゾンの命運握る電子処方箋(2024年10月10日号)

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 医療用医薬品のECを可能にする、オンライン診療・オンライン服薬指導が拡大している。コロナ禍に規制緩和が進んだ同分野だが、アフターコロナにおいてもオンライン診療・服薬指導プラットフォームの利用者は緩やかに増加中だ。「病院や薬局の待ち時間が苦痛」「病院にはかかりたいが外出したくない」といったユーザーにとって、スマホやタブレットで自分の隙間時間に診察を受け、自宅に処方薬を配送してもらえるサービスは、ありがたい存在のようだ。こうしたプラットフォームの中心的ユーザーは、ITリテラシーのある30~40代。リピート性も高いようだ。7月にはアマゾンが、「Amazonファーマシー」として、処方箋医薬品のECを始め、注目を集めた。ただ、「Amazonファーマシー」は現状、電子処方箋を持つユーザーしか利用できない。電子処方箋の普及が今後どの程度進むかが、アマゾン拡大の明暗を分けそうだ。

■診察から薬の購入まで完結

 ユーザーが医療用医薬品を、オンライン上の取り組みのみで購入したい場合、役立つのが、オンライン診療・服薬指導のサービスだ。オンライン上での、医師による診察、薬局から服薬指導を経て、ECで購入することができる。ユーザーが薬局に取りに行くことも可能だ。
 医療用医薬品の購入には、オンラインで薬剤師から服薬指導を受ける必要がある。ほとんどのプラットフォームでは、オンライン診療とワンストップで受けられるようになっている。
 ユーザーの手順としては、(1)オンライン診療の予約(2)オンライン診療の受信(3)オンライン服薬指導の予約(4)薬の購入─という流れになっている。主要なプラットフォームでは、概ね同様の流れとなっているようだ。
 オンラインで診察した医師は診察後、処方箋を薬局に送付する。現在のところ、医師がFAXで薬局に処方箋を送る方法がほとんどだという。一部、電子処方箋を使っているケースもあるようだ。
 政府は現在、患者の服薬履歴などをデジタル上で確認できる電子処方箋システムの導入を、各医療機関に促している。
 当初は、25年3月までの、全国医療機関への導入を目指していたが、電子処方箋システムの導入は、24年8月末時点で、30%程度にとどまるようだ。導入に際して、医療機関のシステムの切り替えに負担が生じることが普及の進まない要因の一つになっている。電子処方箋との相性が良いと考えられるマイナ保険証の利用が進まないことも背景にはあるようだ。
 電子処方箋の導入・利用が進めば、医療用医薬品の利用も進むと考えられる。


■リードタイムで差別化

 オンライン診療・服薬指導プラットフォーム数社に取材すると、いずれも、コロナ以降も利用は拡大しているということだった。

(続きは、「日本ネット経済新聞」10月10日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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