創業5年以内の比較的新しいEC企業などが、大麻由来の成分である「カンナビジオール(CBD)」を使った製品の販売を活発化している。CBDは、成熟した大麻草の茎と種子から抽出する植物性由来の栄養素。精神作用や毒性、依存性はなく、ストレスの緩和、神経を落ち着かせるなどの効果が期待されている。日本のEC市場では、海外輸入品の電子タバコなどに使用されている。人気が高まりつつある一方で、違法成分のテトラヒドロカンナビノール(THC)を含有している製品が流通している問題もある。
■ネット売上70%増も
米国では18年頃から、CBDが人気となり、サプリメント、ケーキやクッキーなどの菓子類にも幅広く使用されている。これに伴い、日本でも、米国を中心に海外製品の輸入を積極的に行うEC事業者が増え、食用のオイルやリキッドオイルを使用した電子タバコの流通がネット通販で拡大している。
電子タバコや雑貨の販売を行うCIGA(シガー、本社東京都)は18年から、海外から輸入したCBD製品のネット販売を行っている。19年12月期のEC売上高は、前期比70%増で成長している(売上額は非公開)。CBD製品の販売を行うウェルネスキット(本社東京都)では、20年1月度の売り上げが前年同月実績の約10倍で推移したという。
化粧品などのメーカーも、CBDのネット通販に参入している。1923年に創業した老舗化粧品メーカーの吉兆堂(本社大阪府)は18年から、CBDを使った化粧品やオイルなどをECサイトで販売している。入浴剤製造のアースコンシャス(本社東京都)も19年12月に、CBD入りの入浴剤をECで展開している。
■米国製には違法成分も
日本でCBDの製品を販売するには、「大麻取締法」と「麻薬及び向精神薬取締法」を順守する必要がある。「大麻取締法」により、成熟した大麻草の茎と種からのみCBDの抽出が認められている。また、製品には「麻薬及び向精神薬取締法」により違法となる精神作用があるテトラヒドロカンナビノール(THC)の成分を含めてはならない。
だが、主な輸入元である米国では、THCが乾燥重量で0.3%まで含有が認められている。THCが微量でも含有されている米国の製品をそのまま輸入することは日本の法律で禁止されている。
日本カンナビジオール協会の伊藤俊彦代表理事は、「ECで製品を販売する際、大麻取締法や麻薬及び向精神薬取締法はもちろん、景品表示法にも細心の注意を払う必要がある」と指摘している。
■アマゾンは全面禁止
CBD製品の取り扱いに対して、モールでは対応が分かれている。
CBDを含有した製品の出品を禁止しているアマゾンは、
(続きは、「日本流通産業新聞」3月5日号で)
〈CBD製品の販売活発化〉 市場拡大も、違法成分の混入に懸念
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