【千原弁護士の法律Q&A】▼427▲ カスハラ条例の積極的利用策は(2025年4月3日号)

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<質問> 



 東京都カスハラ防止条例が2025年4月1日から施行されましたね。当社は東京都で、コールセンターなどお客さまと日常的に接する業務を行っており、一部の問題のあるお客さまへの対応に困っています。この条例によって、当社は、カスハラ対応を強制されることになりますか。また、逆に積極的に利用することができないか、それぞれ教えていただければと思います。(訪販会社社長)

<回答> 「目に見える」対策を講じる

 東京都カスタマー・ハラスメント条例(以下「カスハラ条例」)は、24年10月11日に成立し、25年4月1日からスタートしました。
 この条例には、景品表示法や特定商取引法のように、違反者に対する、行政処分や罰則を担保とする強い法的な拘束力はありません。
 では、企業として無視して良いか?といえば、とんでもありません。
 カスハラ条例には、「社員がカスハラを受けたとき、会社は速やかに(社員の)安全を確保するとともに、当該行為を行った顧客等に対し、その中止の申し入れその他の必要かつ適切な措置を講じるよう努めるべき」といったことが明記されています。
 もし、会社が、社員がカスハラを受けているのを、見過ごす、あるいは、即座に対応しない場合、カスハラ条例違反となります。
 行政からの罰則がなかったとしても、カスハラをそのままにした結果、社員がうつ病になるなどして損害を被った場合、条例違反は、会社の社員に対する損害賠償責任の有力な根拠になると思います。
 また、カスハラ放置は、従業員の早期退職、職場環境の悪化を招くなど、会社経営上もマイナスが大きいです。
 ですから会社は、

(続きは、「日本流通産業新聞 4月3日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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