【太陽光発電特集 好調企業4社に聞く「15年度の事業戦略」】 〈ネットで年間1000台販売〉yh 松田貴道社長/さらなる価格競争を仕掛ける

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松田貴道社長

松田貴道社長

08年から住宅用太陽光発電とオール電化のネット通販を手掛けてきたyh(ヨコハマホールディングス、本社神奈川県)。太陽光発電をネットで売る仕組みを独自に構築し、低価格を武器に売り上げを伸ばしてきた。15年4月期の住宅用太陽光発電の販売台数は約1000台を見込んでいる。「15年度はさらなる価格競争を仕掛ける」と話す松田貴道社長に今後の販売戦略を聞いた。

住宅用売上高15億円

 ─インターネットで太陽光発電を販売するビジネスモデルを教えて欲しい。
 松田 ネット広告や検索エンジンへの最適化により、消費者を通販サイトへ誘導している。見積もり依頼の件数は月間平均で500件前後だ。営業担当者は電話とメールで見積もり依頼に対応し、商談や契約まで一気通貫で行う。営業担当者は16人、ウェブ担当者が2人という体制だ。施工はグループ会社の「匠(たくみ)」が手掛けている。
 ─営業エリアは。
 松田 横浜市内の本社のほか、仙台、名古屋、新潟、大阪、福岡の5カ所に支店を構えている。すべての支店に営業担当者が常駐しており、支店から訪問できる範囲が営業対象エリアだ。
 ─通販サイトでは日本最安値を目指すと謳っている。
 松田 大量一括仕入れによる仕入れコストの削減に加え、ネットを活用した業務効率化で販売価格を抑えている。太陽光発電の商談は対面が一般的だが、電話やメールで商談を行うことで営業コストを大幅に削減した。屋根の図面をメールで取り寄せるなど、ネットを活用して訪問回数を減らしている。


年内に新築住宅発売

 ─15年4月期の販売実績の見通しは。
 松田 住宅用太陽光発電の販売台数は約1000台を見込んでいる。販売台数は前期を上回るものの販売単価が下がった。オール電化やリフォームを含めた住宅用事業の売上高は、前期並みの15億円前後で着地する見通しだ。
 ─15年度における住宅用太陽光発電の販売戦略は。
 松田 4月以降に設置した住宅用太陽光発電の売電単価は、1キロワット時当たり2~4円下がった。設置者の経済的なメリットを少しでも高めるため、販売価格を14年度よりも下げる。今年度は売上高の拡大よりも、販売台数ベースでの市場シェア拡大を優先する。住宅用太陽光発電の市場が緩やかに縮小している中、価格競争は激しさを増しており、多くの販売会社は利益確保に苦しんでいるだろう。当社としては、15年度はさらなる価格競争を仕掛けて業界の淘汰を促す。
 ─太陽光発電以外の商材を取り扱う計画はあるか。
 松田 今後は蓄電池と太陽光発電のセット販売にも力を注ぐ。電気代がさらに値上がりすれば、太陽光で作った電気を蓄電池に溜めて、自家消費するライフスタイルが広がると思う。4月から蓄電池の補助金が始まったことも追い風だ。
 新規事業として新築住宅の販売も開始する。太陽光発電や蓄電池を搭載し、高断熱でエネルギー効率が高いゼロ・エネルギー住宅だ。建物の価格は約1000万円に抑えたい。高付加価値の住宅を低価格で販売することで差別化する。一級建築士や不動産関連の有資格者を採用した。一般建築業の認可が下り次第、事業に着手する。15年中にはモデルルームを公開したい。
 ─太陽光事業で海外に進出したと聞いた。
 松田 タイで産業用太陽光発電の販売と施工を手掛けている。現地で合弁会社を設立した。タイでは電力買い取り制度を背景に産業用太陽光発電の需要が活発化しており、有望な市場だ。
 ─16年4月期の売上高の計画は。
 松田 yh単体で50億円を狙う。住宅用事業は前期並みの15億円、産業用太陽光発電で30億円以上、新築住宅など、他の事業で5億円を目指す。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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