【太陽光発電特集 好調企業4社に聞く「15年度の事業戦略」】 〈訪販一筋で27期目〉産電 徳永睛彦社長/今期は年商40億円目指す

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徳永睛彦社長

徳永睛彦社長

太陽光発電やオール電化を販売する産電(本社大阪府、徳永睛彦社長)が売り上げを伸ばしている。15年1月期の売上高は前期比約30%増の28億円に拡大。積極的な出店計画に基づき、営業エリアを広げたことが奏功したという。ドア・ツー・ドア訪販一筋で27期目を迎える同社は今期、どのような事業戦略を描いているのか。業績好調の要因や今後の計画について徳永睛彦社長に聞いた。

3年で6支店開設

 ─15年1月期の売上高が増収だった要因をどのように分析しているか。
 徳永 支店を増やしてきたことと、太陽光発電の認知度が高まったことで増収となった。営業拠点は3年前まで本社と京都支店、神戸支店の3カ所だったが、12年の横浜支店を皮切りに、東京・池袋、宇都宮市、水戸市、名古屋市、広島市に出店した。
 今後も支店を増やしたいと考えているが、現在は求人難で営業マンの確保が難しいため、今期は現行の体制を維持する計画だ。
 ─前期の販売台数は。
 徳永 前期は1260台販売した。平均単価は約220万円。受注の約9割は住宅用太陽光発電を単体で販売した。発電容量が10kWを超えるシステムは、積極的には販売していない。
 ─住宅用太陽光発電の販売にこだわっているのはなぜか。
 徳永 12年以降、産業用太陽光発電の市場が急拡大し、参入すれば一時的に売り上げが伸びることは分かっていた。しかし、1件当たりの販売価格が数千万円に上る産業用太陽光発電の販売に営業担当者が慣れてしまうと、1件200万円前後の住宅用を売ることが苦痛になりかねないと懸念した。
 また、法人営業は商談を開始してから契約、入金まで1年近くかかるなど、デメリットも少なくない。さまざまな事情を考慮し、浮き沈みの少ない住宅用太陽光発電の販売に専念すべきだと判断している。
 ─戸別訪販を行う上で、特に気を付けていることは。
 徳永 社員への教育や研修を特に重視している。入社直後の講習や現場でのOJT、信販会社が主催するコンプライアンス研修などで社員を育成している。また、いかに顧客と良好な関係を継続できるかを常に考えている。過去に販売した商品の修理など、アフターフォローに力を注いできた。例えば20年以上前に販売した太陽熱温水器の故障であっても当社は出来る限り対応する。過去のお客さまが問い合わせしやすいよう、顧客対応の電話番号は一度も変更していない。
 ─14年12月に開設した水戸支店はショールームを併設している。その狙いは。
 徳永 店舗を構えることで消費者に安心感を与えることができる。消費者が事務所を訪ねてくることもあり、ショールームを上手く活用すれば潜在需要の掘り起しにも期待できるだろう。今後は週末にイベントなどを開催し、新規顧客の獲得にもつなげたい。


関東で自社工事も

 ─施工の体制は。
 徳永 関西周辺では子会社の産電テクノが施工を行っている。関東ではパナソニックの提携工事業者に委託している。産電テクノの工事チームは4班体制。今夏以降、1班を関東に異動する計画だ。
 ─16年1月期の売上高の計画は。
 徳永 今期は40億円を計画しているが、15年2~4月の販売が苦戦したため、35億円程度で着地すると想定している。15年度の売電単価は1キロワット当たり2~4円も下がった。販売台数を大幅に増やすのは難しいだろう。こうした市場環境で売り上げを伸ばすためには客単価を上げる必要がある。今期はオール電化や蓄電池を太陽光発電とセットで販売していく。
 ─中長期的な目標を教えてほしい。
 徳永 太陽光発電だけでなく、リフォームを含めた住宅に関わる商品を販売したい。まずは質の高い工事を手掛けられる体制を整える。現状でも、営業をかければリフォームの問い合わせはあるが、利益第一で責任の持てない仕事は消費者に迷惑がかかり、会社の理念にもそぐわない。責任の持てる組織を構築後、攻勢をかけたい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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