太陽光発電販売大手の日本エコシステム(本社東京都、白髭博司社長)は今期(15年3月期)、蓄電池や家庭内エネルギー管理システム(HEMS)の販売を強化している。家庭のエネルギーを最適管理する「スマートハウス」の提案を通じ、太陽光発電と蓄電池やHEMSをセットで販売していく計画だ。住宅用太陽光発電市場の成長率が鈍化する中、新たな市場に進出することで継続的な売り上げ拡大を目指す。スマートハウス商材の販売戦略について、住宅用事業を統括する事業推進部営業企画室・中村宏室長に話を聞いた。
─蓄電池とHEMSの販売方法は。
中村 太陽光発電を販売した既存客に提案しているほか、販売イベントの来場者にも蓄電池やスマートハウス関連の商材を紹介している。スマートハウスの認知度は現時点ではそれほど高くないため、先ずはスマートハウスの概念を説明し、蓄電池やHEMSに興味を持ってもらうことを重視している。来年度以降は法人への卸売りや新築住宅向けの施工など事業分野を広げたい。
─スマートハウス関連商材の需要はどの程度あるか。
中村 スマートハウスに対する潜在需要は非常に大きいと感じている。社会全体で省エネへの意識が高まっているほか、家庭の電力自給率を高めるライフスタイルも広がり始めた。大手ハウスメーカーがスマートハウスの販売を強化していることもあり着実に普及が進んでいる。今後はスマートフォンで制御できる電化製品や照明機器など、関連商材も増えてくるだろう。技術の進歩に伴い市場規模は拡大していくはずだ。
─スマートハウス関連商材の現在の販売実積は。
中村 今期は蓄電池が月50台以上のペースで売れている。
─太陽光発電の実勢価格が下落し商材の利益率が低下する中、蓄電池やHEMSを販売することは利益確保にもつながるか。
中村 客単価が上がるため利益率は確実に高まる。スマートハウス事業を推進することは会社の収益性強化にもつながっている。
─15年3月期の売上高計画は。
中村 太陽光発電やスマートハウス関連の商材を含め、戸建て住宅向け事業で前期比約5%減の75億円を計画している。
─14年度は住宅用太陽光発電市場の成長率が鈍化した。現在の市場環境をどのように捉えているか。
中村 補助金が終了したことなどにより、住宅用太陽光発電の市場環境は厳しくなった。住宅用太陽光発電の需要は底堅いものの、それだけに頼っていては継続的な売り上げ拡大は見込めない。スマートハウス関連の商材をどこまで伸ばせるかが今後の成長の鍵になるだろう。
〈企業情報〉
社名 日本エコシステム
商材 太陽光発電、オール電化、蓄電池など
販売方法 イベント、店舗、ウェブ、法人提携など
売上高 14年3月期 186億円(住宅用事業は80億円)
〈今期の事業戦略を聞く〉日本エコシステム 事業推進部営業企画室 中村宏室長/蓄電池やHEMSの販売を強化
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