【海外向けネット通販企業〈通販インフラ編〉】現地の拠点を活用/外部代行サービスへ委託も

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各社の海外ネット通販事業

各社の海外ネット通販事業

 海外向けネット通販を手掛ける通販事業者が、物流やサイト構築といったインフラ整備を現地で行っている。トーキョーオタクモードやボーダレスは、海外に自社倉庫を持つ。ボーダレスはサイトの構築も海外事業所で実施している。物流トラブルを防ぐほか、検索順位の対策にかかる手間やリスクを軽減するためだ。JR西日本は海外市場に精通した通販支援会社と協力、海外発送などの業務を委託している。海外向け通販事業者にとって現地拠点の活用や専門業者への委託は、通販サービス拡充に欠かせなくなりつつある。

海外で倉庫開設

 海外向け通販を手掛けるボーダレスは、人形やスマートフォンケースなど10種類のネット通販サイトを展開している。サイトの運営や商品発送は国内に加え、中国、韓国、フィリピンの3カ国にある事業所が担う。
 商品の仕入れも各国のスタッフが独自に行っており、海外メーカーによる商品を積極的に開拓、品ぞろえを拡充している。
 キャラクターグッズのネット通販を手掛けるトーキョーオタクモードは、米国に倉庫を設置。アニメや漫画のキャラクターグッズを中心に在庫を確保してリードタイムを短縮している。
 同社は2月、国内の倉庫を移転。商品の発送や撮影といった業務を内製化するようにした。従業員に物流業務の経験を積ませることで、世界規模で物流拠点を展開する際に役立てるためだ。
 和菓子などの通販を手掛けるスターマークは、シンガポールに子会社を設立したほか、現地に倉庫を所有している。倉庫は商品の冷凍・冷蔵保管が可能。シンガポールやその周辺国に販売する食品の種類を拡大するとともに、通販事業者向けの物流代行業務にも活用している。


専門業者を利用

 現地での物流業務は、物流会社や海外発送代行事業者に委託することも少なくない。JR西日本と海外販売支援のナビバードが運営する国産品の海外向けネット通販事業では、海外発送代行サービスを手掛けるナビバードが物流業務を行っている。ナビバードの国内倉庫に商品を集め、検品や再包装を行ってから海外へ発送する。
 岩手県漁業協同組合連合会やメディコム・トイは、ヤマト運輸や日本通運といった配送会社と協業して海外に商品を発送している。配送会社は通販事業者の倉庫で商品を引き受け、そのまま国際物流サービスで現地の顧客に届けている。
 配送会社や発送代行会社といった物流の専門事業者に物流業務を委託することで、税関への申請といった手間を軽減している。


海外に向けたサイト構築

 海外市場向けに通販サイトを構築する際、現地ドメインサイトへの出品や、海外消費者が閲覧する外部サイトと協力して集客を図る通販事業者もある。
 通販サイト構築支援を手掛けるデジタルスタジオは、中国の通販サイト「OOOBS(ウーブス)」と協業。デジタルスタジオのサービスを使って構築したサイトとの連携機能を5月から実装する。海外では現地ドメインのサイトが、ネット検索で上位に表示される傾向に対応するためだ。
 連携機能を利用すると、デジタルスタジオのサービスで構築したサイトの商品を、「ウーブス」に連動して出品することができる。商品の閲覧機会を増やし、サービス利用者の顧客開拓を支援する。
 国産工芸品の海外販売を行うジャパン・マルシェは、日本文化に関するニュースや観光情報を海外に発信しているニュースサイトと協業。サイトでは情報発信に加え、通販サイトへ誘導する商品の紹介記事を掲載している。日本文化に関心があると思われるサイト閲覧者を対象に、顧客開拓を進める考えだ。
■掲載記事
・JR西日本ナビバード
・トーキョーオタクモード
・ジャパン・マルシェ
・ボーダレス
・メディコム・トイ
など
(続きは日本流通産業新聞 4月3日号で)

ボーダレスの運営している海外向け通販サイト

トーキョーオタクモードの倉庫がある日本ロジスティックの舞浜物流センター

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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