〈市販薬EC〉 解禁1年で1600店が参入/販売店は”安売り”や”買いやすさ”で差別化

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主な医薬品EC企業の販売状況

主な医薬品EC企業の販売状況

市販薬のネット販売が解禁されてから間もなく1年が経過する。市販薬を取り扱うECサイトは1607店(5月13日時点)にまで拡大した。ドラッグストアチェーンや家電量販店に加え、日本郵便まで市販薬のネット販売に参入している。販売店の増加とともに競争は激化。アスクルが運営する日用品ECサイト「ロハコ」では市販薬の販売セールを実施し、「安売り」で顧客獲得を進めている。ケンコーコムは顧客とのやり取りを迅速化するシステムを整備し、「買いやすさ」で差別化を図っている。

大手企業が相次ぎ参入

 厚労省は14年6月、薬事法を改正し、市販薬のネット販売を解禁した。解禁時に市販薬の販売を認められた店舗は約600店だったが、その後、参入企業が相次ぎ、現在は1600店以上に拡大している。
 通販企業としては、解禁前から販売していたケンコーコムやアスクルに続き、爽快ドラッグも14年9月に第2類医薬品の販売を開始した。アマゾンも同月、マーケットプレイスの出店者が第2類医薬品を販売できるようにした。
 家電量販店のビックカメラは解禁前から第2類・第3類医薬品を販売していたが、14年6月に第1類医薬品の取り扱いを開始。ヨドバシカメラは同8月、第2類医薬品の販売を開始した。
 日本郵便は15年2月、ドラッグストア大手のココカラファインと組んで市販薬のネット販売を開始、医薬品ECに参入した。日本郵便が運営するECモールにココカラファインが出品する形で販売を行っている。


アウトレット販売も

 販売店の増加に伴い、競争は激化している。商品そのものでは差別化が難しいため、各社は価格やサービスで違いを出そうとしている。
 アスクルの「ロハコ」は医薬品の販売セールを日常的に実施している。売れ筋商品の解熱鎮痛剤「ロキソニンS(12錠)」はメーカー希望小売価格が税込700円なのに対し、同578円で販売している(5月13日時点)。
 生産が終了していたり、使用期限が迫っていたりする市販薬については、「アウトレット品」として、メーカー希望小売価格の65~80%引きで販売している。「医薬品セール」と題した特設ページも用意しており、価格の安さを売りに顧客を獲得している。
 ビックカメラは解禁直後から第2類医薬品を定価の3~5割引で販売していた。アスクルはビックカメラなどに価格で対抗するべく、値引き販売を強化している。

(続きは本紙 5月14日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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