公正取引委員会 〈ターゲティング広告も規制対象へ〉/IT企業の個人情報利用で指針案

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 ウェブにおける個人情報の取り扱いが大きく規制されることになりそうだ。特に、広告配信の分野で影響が大きくなることが懸念される。公正取引委員会は8月29日、IT企業の個人情報の取り扱いを規制する指針案を公表した。大手ECモールやSNS、検索サービスなどを運営するIT企業(デジタル・プラットフォーマー)について、消費者の同意を得ることなく消費者の個人情報をターゲティング広告に利用するなどの行為が、独占禁止法が禁止する「優越的地位の濫用(※参照)」に当たる可能性があると示している。公取委は、「クッキー情報なども、複数の情報を組み合わせて、結果的に個人が特定できる情報として利用する場合は違法の可能性がある」としている。大手ECモールやSNS運営企業の中には、自社で蓄積した情報をターゲティング広告に利用しているケースもある。情報の組み合わせがどこまで違法とされるかは未知数だが、規制がEC企業の現行のビジネスモデルに影響を与える可能性は高い。

■同意ない広告運用を規制

 指針案では、ECモールやSNS、検索サービス、コンテンツサービスなどを運営するIT企業を「デジタル・プラットフォーマー(以下DP)」と名付けている。指針案によるとこれらのIT企業は、「消費者の利便性が高いサービスを提供する一方で、不正な手段により個人情報を取得したり利用したりして、消費者に不利益を及ぼす可能性がある」としている。DPが消費者に及ぼす不利益を規制するための、独占禁止法の運用の指針案という位置づけだ。
 欧米では18年から、フェイスブックを通じて、1億人分以上の個人情報が流出したり、不正に利用されたりしていたことなどが、問題となっていた。こういった大手IT企業を規制する動きの一環だとみられている。
 指針案では、BtoCの取引であっても独禁法上の「優越的地位の濫用」が成立すると明示。「優越的地位の濫用」に当たる、個人情報の取り扱いについて、四つのおおまかな類型を示している。(1)利用目的を知らせずに個人情報を取得する(2)利用目的の範囲を超えて、消費者の意に反した個人情報を取得・利用する(3)個人情報の安全管理措置を講じずに、個人情報を取得・利用する(4)サービス利用の対価として消費者から追加の個人情報を取得する─の4点だ
 指針案では、

(続きは、「日本流通産業新聞」9月5日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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