通販企業による異業種への参入が目立っている。千趣会が昨年9月、飲食事業に参入したほか、ベルーナも昨年10月、都内で飲食事業を開始した。ベルーナは飲食事業以外にも、不動産事業はホテル事業を展開している。健康コーポレーションは100%子会社のRIZAP(ライザップ、本社東京都、瀬戸健社長)がパーソナルトレーニングジムを積極的に展開。今期は同事業で売上高が100億円を突破する見込みだ。各社とも通販事業をメーンに位置付けるスタンスは変わらないものの、通販事業による今後の成長性は厳しいと判断。異業種への参入で収益手段を多角化する狙いがあるようだ。
千趣会が飲食事業
千趣会は昨年9月26日、東京・丸の内の丸ビル地下1階に、ブリトーの専門店「ウムウムグッドブリトーズ!」を開設した。ブリトーとは、トルティーヤという小麦粉でできた皮に、野菜や肉、ご飯などの具材をくるんだもの。ヘルシーかつ気軽に食べられるとして、米国では人気になっているという。
千趣会が飲食事業に参入したのは、企業ビジョンである「ウーマンスマイルカンパニー」の実現を、通販とは異なる視点で行えないか調査したのがきっかけだ。飲食事業のノウハウはないが、テストも含めて参入障壁は比較的低いと判断した。
開設後は来店客数・売上高とも計画通りに推移しており、「初年度売上高予算の4400万円は達成できる見通し」(創造研究開発室クリエイティブ1チーム・山田誠マネージャー)と言う。
しかし、丸ビルへの出店だけにイニシャルコストがかかっており、契約年数と償却を考慮すると初年度売上額の推移では黒字化は困難。もっとも千趣会の場合、収益化よりも〝働く女性を応援する〟という意味合いが強い。とはいえ一つの事業として育成する考えで、首都圏を中心に5年後は10店舗を展開していく計画だ。
千趣会はこのほか、ブライダル事業の運営を積極的に手掛けている。子会社のディアーズ・ブレインが行っており、14年12月期の同事業による売上高は前期比18・8%増の127億5000万円。3月末日付で取得予定の大阪ガスグループのウェディング会社を含めると今期の売上高は約160億円の規模になる。
(続きは本紙3月19日号で)
〈通販企業 異業種に積極参入〉 収益手段の多角化を狙う
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