東洋新薬/育毛のメカニズム解明/「フラバンジェノール」研究成果発表

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 健康食品・化粧品メーカーの東洋新薬(本社福岡県、本部佐賀県、服部利光社長、(電)0942—81—3555)はこのほど、独自素材である松樹皮抽出物「フラバンジェノール」が、頭の表皮の「テロメラーゼ」を活性化することにより育毛作用を発揮する可能性があることが確認されたことを明らかにした。8月22〜24日に東北大学で開催された日本食品科学工学会第65回大会で同研究成果を発表した。
 松樹皮抽出物「フラバンジェノール」は、抗酸化作用や血流改善作用を持ち、美白・抗シワ・育毛に優れた作用を発揮することがすでに分かっている。
 今回の研究は、九州大学大学院農学研究院の片倉喜範准教授と共同で行った。同研究では、表皮に存在するテロメラーゼの働きに着目したという。
 テロメラーゼは、細胞の分裂寿命を司る、染色体の末端粒子「テロメア」を伸長する働きを持つ酵素。テロメアは、「細胞分裂の回数券」ともいわれており、細胞分裂とともに短縮し、短くなるとそれ以上細胞分裂が起こらなくなるという。加齢やさまざまなストレスによってもテロメアの短縮は起こるとされている。
 テロメラーゼには、短縮したテロメアを伸長させる働きがあることが分かっている。テロメアとテロメラーゼの仕組みを発見した研究者らは、09年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。
 これまでのマウスを用いた研究では、表皮のテロメラーゼを活性化することにより、毛髪が成長することが分かっていた。
 今回の研究では、ヒト表皮角化細胞にフラバンジェノールを添加し、テロメラーゼの遺伝子発現量を解析した。併せて、毛髪の成長期から退行期への移行を促進する物質「TGFβ1」の解析も行った。
 その結果、フラバンジェノールの添加により、テロメラーゼ遺伝子の発現量が増加することが分かった。TGFβ1遺伝子については、発現量が減少することが確認された。
 これまで、フラバンジェノールの持つ育毛作用のメカニズムとしては、血流改善作用、抗酸化作用が考えられていたが、今回の研究成果からは、「毛のもととなる細胞を増加させることで毛髪の成長を促進し、さらには毛髪の成長期から退行期への移行を抑制する」という新たなメカニズムがあることが示唆された。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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