新たな食品原料として注目が集まる昆虫食市場。今年に入り、提携や協賛という形で、大手企業の参入が続いている。22年7月には、国内昆虫食ECの先駆けであるTAKEOがニチレイと資本提携を結んだ。FUTURENAUT(フューチャーノート)が例年8月に開催しているコオロギレシピグランプリは22年、カルビーが協賛を開始した。昆虫食EC市場はこれまで、スタートアップが中心で、小規模な市場だった。大手企業の参入を皮切りに、22年以降は市場の活発化が進みそうだ。
■始まりは無印良品から
昆虫食を扱い始めた大手企業というと、無印良品を展開する良品計画の名前が真っ先に上る。同社は20年5月、他の大手に先駆けて、「コオロギせんべい」をEC限定で発売。同商品は現在、全国250以上の店舗でも販売されているという。
良品計画に原料提供を行うグリラス(本社徳島県、渡邉崇人社長)が自社ECサイトを開設し、直販事業を開始したのは21年のことだった。22年3月に約2億9000万円の資金調達を実施するなどして、事業規模を急拡大。22年5月期の売上高は、本紙推定で前期比10倍以上になったとみられる。
21年は従業員数人で運営していたが、今や従業員約50人の大所帯となっている。22年にはファミマ!!への卸も開始。キッザニア出展も開始するなど、今年に入り活動の場を急拡大させている。
■TAKEOはニチレイと
22年7月、国内昆虫食ECの先駆け企業であるTAKEO(本社東京都、齋藤健生CEO)は、ニチレイと資本提携を結んだ。齋藤CEOは「ニチレイは冷凍食品の先駆者。当社と通ずる部分があると思う。今でこそ冷凍食品は、食卓にあふれているが、昔はそうではなかったと思う。ニチレイが冷凍食品で食卓を切り拓いてきたように、当社も昆虫食で食卓を切り拓いていきたい」と話す。
ニチレイの担当者は「昆虫のおいしい食べ方はTAKEOが、そこに行きつく加工方法は当社がという形で一緒にやっていきたい」と話す。両社は現在市場に増えている「コオロギ」ではなく、「トノサマバッタ」に注目しているようだ。「昆虫食?だけど?食べるでは意味がない。昆虫食?だから?食べるという商品を作ることが使命だと思っている」(同)という。「例えば、昆虫を口に入れた際の食感は昆虫でしか味わえない。『骨がない』『複雑な構造』『外皮が薄い』といった昆虫独特の特徴を生かしていく。何かの代替としての昆虫食では意味がないと考えている」(同)とも話している。
■菓子、ペットフードも
昆虫原料を使用したお菓子などをECで販売するFUTURENAUT(本社群馬県、櫻井蓮CEO)は20年から「コオロギレシピグランプリ」を開催している。
(続きは、「日本ネット経済新聞」8月4日号で)
【昆虫食EC市場】 ニチレイ、カルビーも参入/大手企業続々と(2022年8月4日号)
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