国土交通省/不動産のネット取引解禁へ/テレビ電話での重要事項説明可能に

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 国土交通省は1月30日、「ITを活用した重要事項説明等のあり方にかかる検討会」の最終報告書を発表した。法人取引と個人の賃貸契約において、不動産会社が取引条件などの重要事項をテレビ電話でも説明できるようにする方針を明らかにした。重要事項説明書や契約書などの書面交付もネットを介して行えるようにする方向で検討を進めているという。15年夏ごろからテレビ電話による取引についての社会実験を実施し、問題がなければ、不動産のネット取引の本格解禁に向け、環境整備を進める考えだ。
 検討会は14年4月に開始し、同12月まで計6回の会合が開催された。現在の宅地建物取引業法では、不動産会社の担当者が対面で重要事項を説明することが義務付けられている。検討会では、テレビ電話を利用すれば、対面でなくとも顧客が説明を理解していることが確認でき、図表等を示して説明することも可能だと判断した。ネットを介して不動産を取引できるようになれば、現地に出向く手間が省けるようになる。
 同省は15年夏から社会実験を開始し、半年ごとに取引実態を検証する予定だ。社会実験には、あらかじめ登録を行った事業者のみが参加する。重要事項の説明中はその様子を録音・録画し、契約時と契約から半年後に契約者にアンケートをとることを求める。社会実験では契約書などの書面は郵送でやり取りし、不動産会社の担当者や契約者の記名・押印を行う。
 社会実験の結果を踏まえ、新たに検討会を開設する考えだ。検討会では、環境整備に向けた具体的な議論を進める予定。重要事項説明書や契約書などの書面交付を電子化するためには、少なくともガイドラインの制定や省令の改正などが必要になるという。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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