テレビショッピングを中心に健康食品を販売する八幡物産(本社鳥取県、八幡清志社長)は11月25日、機能性表示食品「北の国から届いたブルーベリー」の届け出の撤回届を消費者庁に提出した。撤回の理由について同社は「自社内で、再レビューを行ったところ、『目の疲労感』に関して機能性を保証する為のエビデンスとしては弱く十分ではないと判断し、自主的に撤回を行うことにした」(総務経理部)と説明している。なお今回の撤回は、今夏に業界を騒がせた日本アントシアニン研究会からの申し入れとは「無関係」(同)であると言う。
≪群内比較のみの有意差だけでは弱いと判断」≫
「北の国から届いたブルーベリー」は、ビルベリー由来アントシアニンを機能性関与成分とする機能性表示食品だ。機能性表示は「本品にはビルベリー由来のアントシアニンが含まれます。アントシアニンには、パソコン作業、事務作業など目をよく使うことによる、目の疲労感、ピント調節機能の低下を緩和することにより、目の調子を整える機能があることが報告されています」としていた。
八幡物産は、消費者庁が7月に公表した研究レビューの検証事業の報告書を受け、自社内での再レビューを実施したという。再レビュー結果を踏まえて同社は、消費者庁に相談・技術的助言を受けた。
消費者庁の助言を踏まえ、「『目の疲労感』に関して機能性を保証する為のエビデンスとしては弱く十分ではない」と判断したという。同社が、「エビデンスとして弱い」と判断したのは、届け出に採用された論文中の「眼精疲労」に関する自覚症状の評価結果だ。
「群内比較(ビルベリーエキス含有食品を摂取する前と摂取した後の比較)では有意差があったが、群間比較(ビルベリーエキス含有食品とプラセボとの比較)では有意差がなかった」(同)のだという。「消費者庁と相談の上、この群内比較のみの有意差だけでは、エビデンスとしては弱いと判断。自主的に届け出を撤回することを決めた」(同)としている。届け出の「撤回届」を11月25日に提出した。同社では、「自主的な撤回であり、外部団体や行政からの強い指摘に影響を受けての撤回ではない」(同)としている。
八幡物産「研究会の指摘は〝同等性゛について」
「北の国から届いたブルーベリー」は今夏に、業界団体である日本アントシアニン研究会(事務局東京都、矢澤一良会長)との間で論争が巻き起こり、業界内で話題になった機能性表示食品の一品でもある。ただ、今回の撤回によりこの論争に決着がついたというわけではないようだ。
(続きは、「日本流通産業新聞」12月1日・8日合併号で)
八幡物産「北の国から届いたブルーベリー」/11月25日に届け出撤回/研究会との論争は「無関係」
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