【百貨店】OMOでインバウンド需要つかむ/訪日外国人の8兆円の財布を狙え(2025年1月9日号)

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 円安を追い風に、インバウンド需要が増加している。日本政府によると、24年の訪日外国人旅行者数は前年比で40%増の3500万人、消費額も過去最高の8兆円が視野に入る見通しだ。百貨店では、免税売り上げが伸び続けている。百貨店では、オンライン・オフラインを活用するOMOの取り組みを行っている。百貨店の店舗を主軸としたOMO施策においては、インバウンド需要にリーチする取り組みも強化している。

 日本政府観光局(JNTO)によると、24年1―11月の訪日外国人数はおよそ3338万人だった。11カ月目の時点ですでに、コロナ前に過去最高を記録した、19年の12カ月間の訪日外国人数(3188万人)をも上回っている。
 インバウンドが空前の規模で推移する中で、百貨店の免税売上高も伸び続けているようだ。(一社)日本百貨店協会(事務局東京都)の集計によると、24年1―7月の7カ月間ですでに、23年の1年間の免税売り上げ(3484億円)を超えたという。同協会が24年末に発表した24年1―11月の累計の免税売上高は前年同期間比94.6%増の5861億円だった。
 百貨店のインバウンド需要への対応も過熱している。


■4年後200億円

 百貨店各社は、高まるインバウンド需要を織り込みつつ、OMO戦略を構築している。
 松屋は11月27日、オムニチャネル型プラットフォームとして、新ECサイト「matsuyaginza.com(マツヤギンザドットコム)」を本格始動した。リアル店舗とデジタルを融合した取り組みで、配送だけでなく、店頭での受け取りにも対応する。初年度売り上げ50億円を目指すという。4年後の売り上げ目標としては、200億円を掲げている。
 「松屋銀座にとって新たな一歩だ。開始直後から多くのお客さまに関心を持っていただいている。特に、BOPIS(オンライン注文、店頭受取)や、限定商品といったサービスが好評を博している」(MATSUYA GINZA・com ヴァイスプレジデント デジタルコマース・マーケティング・オペレーションのヤン・ヤン氏)と手応えを示す。分析データや、顧客からのフィードバックによると、90%以上の満足度を得ているという。プラットフォームの利便性や、新しいショッピング体験が高く評価されているそうだ。
 登録者数は予想を20%上回っているという。ターゲットは国内顧客と訪日外国人の両方と設定している。ただ、現在の利用者の大多数は国内顧客だそうだ。
 中国語や英語のページの利用が目立ち、同サイトへの訪日外国人のアクセスも徐々に増加しているという。
 同サイトでは、サイト上で事前に予約した商品を店舗で受け取れる。そのため、ユーザーは、商品を確保した上でスピーディーに商品を購入できる。同サイト開設に当たっては、松屋銀座4階に、ピックアップカウンターや専用サロンを新たに設けたという。専用サロンは、高額購入者の顧客が使用できるVIPサロンであり、フィッティングルームを備えており、シャンパンやコーヒーも提供するそうだ。

(続きは、「日本流通産業新聞 1月9日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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