「物流の2024年問題」を受け、新たな取り組みを始める物流企業が増えている。24年に入ってからで言うと、例えば日本郵政グループは、セイノーグループと業務提携し、幹線輸送の共同運行を開始した。一方、ヤマトホールディングスは、共同輸配送のオープンプラットフォームを提供する新会社を設立。ヤマトホールディングスと日本航空は、貨物専用機「フレイター」の運航を開始した。企業間の垣根を超えた取り組みが目立つようになっている。物流各社では、再配達を削減するため、「置き配」や、「ロッカー」での受け取りを推進するようになっている。ヤマト運輸は、宅急便の受け取り方に、「置き配」を追加。日本郵政グループは、駅の多機能ロッカーで「ゆうパック」を受け取れるサービスを開始した。各社は、再配達削減に向けた取り組みを加速させている。
■影響は年末か
24年4月から、自動車の運転業務の時間外労働に、年960時間の上限規制が適用された。具体的な対応を行わなかった場合、運べなくなる荷物が発生すると言われている。全日本トラック協会の吉田将一次長は、「4月に入り、直ちに何か影響が出たということはない。年間を通じての規制なので、具体的な影響が出るのは年末からではないか」とみている。
全日本トラック協会では24年1~2月にかけ、物流事業者650社に対して行ったアンケートを実施した。その結果、「現時点で960時間を超えているドライバーがいる物流企業は、全体の約4分の1だった。事業者によっては、大幅に超えていて回答しにくいというケースもあった。実態は、4分の1以上の企業が基準を超えているとみている」(同)と話す。
■共同配送で課題解決を
物流の2024年問題の解決策として、物流各社は、業務提携による、共同輸送を開始したり、新たな荷物の受け取り方法の提供を始めたりしている。
ヤマトホールディングスは5月21日、共同輸配送のオープンプラットフォームを提供する新会社「「SustainableSharedTransport(サステナブルシェアードトランスポート、SST)」を設立した。企業間の垣根を超え、持続可能なサプライチェーンの構築を目指すとしている。
ヤマト運輸のグリーン物流事業推進部長で、SSTの代表取締役社長も務める高野茂幸氏は、共同輸配送の課題として、(1)行うべき、実証や検証が多く、本格運用の実現が難しい(2)パレットの規格が異なるなど、最適な荷積みが、属人的なスキルに依存してしまう(3)荷物事故、損傷時などの責任所在が不明確になりがち(4)業種ごとに商慣行などが異なり、異業種間の取り組みが難しい(5)荷物量の急な変化に対して柔軟な対応が難しい(6)複数の物流事業者・荷主間でのシステム連携、配送状況の確認が困難─といった点があると、新会社設立の説明会で述べていた。
(続きは、「日本流通産業新聞 6月13日号で)
【物流の2024年問題】 「共同輸送」が主流に/「置き配」「ロッカー」の利便性向上も(2024年6月13日号)
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