ヤクルト本社の22年3月期における、乳製品と化粧品の合計売上高は、前期比8.2%増の1083億5700万円だった。次期は、既存顧客を優先して販売してきた「ヤクルト1000」について、ヤクルトレディ(YL)による本格的な提案を開始する。これにより販売本数を1日あたり前期比26.4%増の145万本への拡大を目指す。
YLが扱う宅配専用商品「ヤクルト400類」の1日あたりの販売本数は、機能性表示食品の「ヤクルト1000」に切り替える消費者が増えたため、同17.2%減の265万6000本に減少した。一方で、期初から全国展開を開始した「ヤクルト1000」は、前年同期の約2.7倍となる114万7000本と好調だった。
宅配チャネルは「ヤクルト1000」「ヤクルト400W」を中心に、エビデンスに基づいた「価値普及」活動を実施。ネット注文サービス「ヤクルト届けてネット」の活用や、オウンドメディア「ヤクルトベース」などで情報提供を充実させ、新規顧客の獲得と既存客への継続飲用の促進を図った。
「ヤクルト届けてネット」による末端の受注金額は前期の約1.8倍となる70億円になった。新規申込件数は前期に比べ2万5000件増の11万件、クレジットカ―ド決済を利用した会員数が6万件増の16万件、1日あたりの販売本数は8万本増の24万本だった。
商品別では、21年4月に「ヤクルト1000」、8月に「ヤクルト400W」の販売地区を全国に拡大した。10月には「ヤクルト1000」の店頭向けシリーズ品「Y1000」を発売。ヨーグルト「ソフール」は、1年を通じて4品目の期間限定アイテムを投入しブランドの活性化を図った。
化粧品は、オリジナル保湿成分「S.E.(シロタエッセンス)」の「価値普及」活動に重点を置き、「内外美容」の実現と化粧品愛用者数の増加に努めた。具体的には、21年10月までに保湿効果の高い基礎化粧品「ラクトデュウ」シリーズから新商品2品目を発売し、新規顧客の接点拡大と継続愛用の促進を図った。22年3月には「パラビオ」シリーズに、高機能美容液「パラビオ ACセラム サイ」を発売した。化粧品事業の売上高は同3.7%減の65億5600万円だった。
YL数については、22年3月末時点で3万2680人と前期から167人減少した。5月16日に開催した決算説明会で、今年4月に就任した斎藤憲明宅配営業部長は、「離職数は例年と変わっておらず、雇用環境が改善していく中でYL数の新規採用が減少した。『ヤクルト1000』を本格的に提案し、販売の拡大に努めたい」と話した。
ヤクルト本社 22年3月期/「ヤクルト1000」の販売が好調/ネット注文による受注は70億円に(2022年5月19日号)
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