2022年 有力EC事業者・有識者が市場を予測
- 2022/01/13
- 日本ネット経済新聞
- 2022年 有力EC事業者・有識者が市場を予測
有識者に聞く!【2022年 EC市場展望】〈越境EC〉
キレイコム
アジア圏の越境ECは、引き続き大きな盛り上がりを見せている。中国への越境EC支援などを手掛けるキレイコム(本社東京都)の上田直之社長は、モールでの販売からコミュニティーを活用した越境ECへの移行が進んでいく1年になると予測する。
22年もアジアでの越境ECは活発な動きを見せるだろう。とはいえ、その内情には変化が生じつつある。
最大の市場である中国では、ここ数年市場を盛り上げてきたモールでの大型セールイベントが以前の勢いを失いつつある。消費者もメーカーも必要以上の値下げ競争や大量消費に疲弊してきているという印象だ。
中国での越境ECの難易度は年々上がってきていることを肌で感じている。競争の激しさはもちろんだが、ECが生活に浸透し、中国の消費者の目が肥えてきていることもその要因だろう。
国内で販売するものをただ流用するのではなく、商品の中身からパッケージ、販売手法に至るまであらゆる点で現地の消費者に向き合い、最適化した商品を発信する必要がある。
こうした背景から、今年はオンライン上のコミュニティーを活用した越境ECがより進んでいくと考えている。その中でも注目すべきは、中国最大のメッセージアプリ「WeChat(ウィーチャット)」だ。
ミニアプリや「社群(シャグン)」というグループコミュニティー内で消費者と直接つながり、販売や市場調査を行える「WeChat」は国内メーカーでも着々と成功実績が積み上がっている。
中国では、定期通販という消費スタイルがあまり浸透していない。「WeChat」の活用により、こうした販売手法もより定着していくのではないかと考えている。
21年は政府による巨大IT企業への規制も表面化したが、現状「WeChat」への影響は出ていない。
今年はアジア各国で大々的な展示会やイベントも行われ、日本企業の参入も進むことが予測される。特にベトナムを筆頭とした東南アジア各国には大きなポテンシャルを感じている。
市場として明確な枠組みができる前に商品を投下することで、まだまだ先行者利益を得ることができるだろう。もちろんその際には現地の消費者の需要を見定めた商品企画が必須となる。
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