2022年 有力EC事業者・有識者が市場を予測
- 2022/01/13
- 日本ネット経済新聞
- 2022年 有力EC事業者・有識者が市場を予測
事業者に聞く!【2022年 事業戦略】
cotta
菓子材料を販売するcotta(コッタ)の21年9月期の売上高は、前期比17.8%増の92億5800万円だった。当初の想定は96億円を掲げていたため、若干計画を下回って着地した。それでもイベントに合わせて、菓子が作れる手作りキットの販売を通じて増収につなげた。黒須綾希子社長に、22年の市場予測について聞いた。
22年の菓子材料業界は、新型コロナウイルスの感染拡大に左右されると考えている。当社も巣ごもり需要が高かった20年10月~21年3月(上半期)の売上高は、前年同期比56.0%増で推移した。
だが、緊急事態宣言が解除されて、街に繰り出す人が増えると、菓子材料という商品性質上、売り上げを伸ばすことは厳しかった。21年4~9月(下半期)の売上高は、前年同期比を多少下回る結果だった。
そんな中でも22年は継続して、イベントに合わせて菓子を簡単に作れる手作りキットの開発・販売に力を入れなくてはいけないと感じている。
21年の下半期は在宅時間が減少傾向になるにつれて、自宅で菓子を作ろうと考えた人が少なくなっていった。どうすれば今作ってみようと思ってもらえるのかを試行錯誤した。
その結果、世の中のイベントに合わせて、その時期に流行している菓子を簡単に作れる手作りキットを販売して、一般消費者の菓子を作る意欲をかき立てることを画策した。
実際に21年3月のひな祭りには、桜餅を作れる手作りキットを開発。同5月のこどもの日には、その時期に人気だったわらび餅を簡単に作れる手作りキットを開発したりした。
コロナ禍ではSNS映えの色彩豊かな、かわいい菓子というよりも、父・母・子と、家族全員で食べられる菓子が人気の傾向にある。女の子に人気が出るような派手な色のわらび餅ではなく、抹茶味や、きな粉と黒蜜をかけて楽しめるシンプルなわらび餅を作れる手作りキットの開発に注力した。
下半期の売上高は、前年同期を下回ったが、この取り組みをしなければ、もっと厳しい結果が待っていたと感じている。22年も昨年同様、桜餅、わらび餅、かしわ餅を作れる手作りキットを販売して、学生からの購入につなげていきたい。
コロナ禍の点でいうと原材料の値上げも22年は頭を悩ます問題になりそうだ。現在は小麦粉や容器など、多くの原材料の仕入れ価格が高騰している。
当社は値上げをせずに従来通りの販売価格で提供しており、今後もこの方針は変わらない。当社の利益を少なくすることで、顧客に従来通りの販売価格で商品を提供していく。
他社が値上げを選択する中、当社が値上げを行わないことで、「コッタは値上げをしない企業だ」と広まれば、それも一種の広告宣伝だと考えている。広告宣伝費をかけずとも、口コミで広まれば、仕入れ価格高騰分の負担を補えるとみている。
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