本紙がまとめた中古品EC売上高ランキング(2014年調査)によると、上位30社の売上高の合計は前年比21・8%増の561億1200万円だった。EC市場と中古品市場はそれぞれ拡大しており、中古品ECの有力企業は順調に業績を伸ばしている。中古品EC大手はネットの不安を取り除くためにサービスに工夫を凝らしている。大手が実施している買い取り販売のノウハウを紹介する。
〈買い取りのコツ〉手軽さを売りに
中古品EC事業者は、「手軽さ」を武器に買い取りを強化している。
シュッピンは指定価格で商品を買い取る「ワンプライス買取」が好調だという。サービスの対象商品の買い取り価格をサイト内に明示したことが、ユーザーの利用の拡大につながった。
さらに、同社は14年9月、下取り予定がある場合に、あらかじめ下取り金額を割り引いた価格で新品商品を販売するサービス「先取交換」を開始した。「新品商品購入時に、お手持ちの商品を下取りに出すお客さまが多かった。新品商品の購入と下取りを一気に行うことができるため、お客さまの手間を省くことができる」(広報)と話す。
EC専業のマーケットエンタープライズは、出張買い取りに注力している。
現在、全国5拠点からの出張買い取りサービスで人口の6割をカバーした。買い取り拠点の拡大が奏功し、現在は月間2万件以上の買い取り依頼が舞い込むようになったという。
〈業務の効率化〉在宅ワークを促進
デファクトスタンダードの14年9月期における買い取り件数は、前期比45・5%増となった。中古品の買い取り販売は、1点ずつ商品を検品・査定し、販売のために商品の撮影・情報入力などをしなければならない。買い取り件数拡大と共に増大する業務を効率的に処理するため、同社はスタッフの在宅ワークを推進している。
「業務量拡大に備え、1年前くらいから在宅ワーク制度を本格的に導入。現在では130人ほどのスタッフが自宅で業務を実施している」(業務部・岸上弘幸部長)と話す。
在宅スタッフは、自宅に送られてきた商品の採寸を行い、傷などを調べる検品業務を主に行っている。同社は在宅ワーク制度導入により、物流施設を拡張せずとも拡大する買い取り業務を処理することができている。
〈販売時の工夫〉独自の保証を提供
中古品の販売は、ユーザーに「安心感」を与えることが事業拡大の鍵といえる。
コメ兵は店頭とネットのサービス連携により、ユーザーに安心感を与えようとしている。ECサイトで注文した商品を店頭で確認してから購入できる「店頭受け取り」を促したり、スタッフが店頭で来店客にECサイトを案内し、店舗に在庫がない商品を取り寄せたりもしている。
店頭受け取りを選択する顧客の購入単価は、自宅配送の顧客の3倍以上に上るという。14年3月期のEC売上高においても、自宅配送の顧客への販売高は微増だったが、店頭受け取りの顧客の販売高は前期比36%増と大きく伸長している。
マーケットエンタープライズは、中古品販売サイト「安く買えるドットコム」にて独自の保証サービスを提供し、利用促進を図っている。
「安心3大保証」と銘打ち、(1)商品が正常に作動することを保証する「動作保証」(2)保証期間を延長できる「延長保証」(3)商品が気に入らなかった場合などに同社が買い取りに応じる「買い取り保証」─を提供している。初めて中古品を購入するユーザーなどに対しても保証サービスで安心感を与え、気軽に利用してもらいたい考えだ。中古品ECを利用したことがないユーザーはまだまだ多い。各社ともサービスに工夫を凝らしながら、ユーザーの開拓に注力している。
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