【Amazon出品〈気になるトピックを徹底解説!〉】第6回 二重価格表示の規則と割安感の演出

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■「クーポンプログラム」登場

 今年も7月16日から有料会員向けのセールイベント「Amazonプライムデー」が開催されました。プライムデー開催の6日前、新機能「クーポンプログラム」が出品者に公開されたのはご存じでしょうか。ユーザーが商品ページ上に表示されるクーポンのチェックボックスにチェックを入れると、割引が適用されるという機能です。早速このクーポンを利用して、プライムデーで競合他社との差別化を図ることができた出品者もいるでしょう。今回は出品者がユーザーに対して、割安感を演出する手段について考えていきます。
 まず、13年には、楽天市場で不当な二重価格表示が問題になりました。それ以来、Amazonも二重価格表示の規制を徐々に強めています。当初は参考価格、販売価格、セール価格が無条件で表示され、ユーザーは割安感を一目で実感できていました。一方で、表示されていた参考価格やセール価格に根拠がなかったとも言えます。
 16年には、Amazonが正式に、出品者に参考価格の規定を定めて、取り締まりをいっそう強化しました。結果として、現在では多くの商品で参考価格が表示されず、二重価格表示とならないことが通常になっています。
 その中で登場したのが先述した「クーポンプログラム」です。割引率は、出品者が5%〜50%の範囲内で自由に設定することができます。ユーザーがクーポンを使用すると、出品者は1回につき60円の手数料が発生します。ただ、クーポンはユーザーが割引内容を確認しやすく、表示のインパクトも大きいので、訴求力は高いといえます。


■割安感を演出する手段

 Amazon出品サービスには、ほかにも割引の手段がいくつかあります。
 まずは「セール価格表示」です。最長で1カ月間、商品のセール価格の設定ができるというものです。ただ、セール価格を設定しても、元の価格が表示されにくくなっており、そうなるとセール前とセール後の価格を比較できず、実際にいくらの割引なのかがユーザーも確認ができないため、割安感が伝わりにくいです。
 次に「ポイント付与」です。期間の縛りがなく、1%から付与できることが利点です。ただ、表示のインパクトがやや控えめで弱く、割安感の伝わり方が弱い部分があります。
 そして、「プロモーション割引」。「2点以上購入したら5%オフ」といった割引が自由に設定できる機能です。設定内容の自由度が高く、商品ページ上で「この商品の特別キャンペーン」と、目立って表示されるため、インパクトも強いです。
 そして、最後にもうひとつ、「タイムセール割引」があります。Amazonが実施する時間限定のタイムセールになりますが、対象商品は売れ筋商品などからAmazonが事前に候補を選定しており、誰でも参加できるわけではありません。有料で参加できる「タイムセール」ですが、Amazon担当者経由で無料でより優位に表示される「特選タイムセール」などもあります。いずれにしても参加できれば訴求力はかなり高いといえます。
 前回もお話ししましたが、大切なのは、自社商品の商品力をつけるなど、出品者として自ら有利に展開できる力を備えておかなければならないということです。力のある商品を展開すれば、Amazonのタイムセールだけ見ても、より優位に展開できることになります。そのためにも、使える手段をしっかり利用しながら、力のある出品者へ成長していくことが重要でしょう。


〈プロフィール〉
 比良益章(ひら・ますあき)
 2006年楽天入社、ECコンサルタント、マーケティング担当などを経験。2009年アマゾンジャパン入社、新規開拓営業、コンサルタント業務に従事し、5期連続でトップ成績を獲得。2010年アグザルファ設立、代表取締役に就任し、Amazon専門のコンサルティングを展開。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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