【EC関連リサーチ】〈矢野経済研究所「国内コールセンター調査」〉/コールセンター市場が2・4%増

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 矢野経済研究所(本社東京都、水越孝社長)はこのほど、国内のコールセンター市場およびコンタクトセンター・CRMソリューション市場について調査を実施した。EC市場の拡大に伴い流通業の引き合いが増加傾向にあり、14年度のコールセンターの市場規模は前年比2・4%増の伸びになるとの予測を発表した。11年度から16年度までのコールセンター(テレマーケティング)市場(事業者売上高ベース)は年平均成長率1・7%で推移し、16年度には7086億円になるとしている。

16年には7088億円に

 11年度は、コールセンターにおけるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスの利用が拡大。これに加えて東日本大震災の影響により、事業継続対策を目的にコールセンター拠点の分散化を図る企業が増えた。また、震災関連需要として、保険会社など特定の業界で需要が拡大した。
 12年度から13年度のテレマーケティング企業の売上高は、11年度の成長要因が落ち着いた上に、特段の成長要因がなかったことから伸びが鈍化した。
 14年度は14年1月から開始されたNISA(少額投資非課税制度)への問い合わせ需要が発生し金融業からの引き合いが増加した。EC(電子商取引)市場の拡大により流通業からの引き合いも増加し、14年度は前年比2・4%増の伸びになると予測している。
 15年度以降は、マイナンバー(社会保障・税番号)制度により発生する需要が期待できるものの、これまで大きな需要があった通信業での需要が減退し、横ばい程度の推移に落ち着くとみている。
 11年度から16年度までのコールセンター市場は年平均成長率1・7%で推移。その上で16年度には7086億円になると予測する。


ECもCRMを強化傾向に

 14年度までのコンタクトセンター・CRMソリューション市場は、大規模コンタクトセンターの新規構築件数こそ少なかったものの、システムの更改、増設、機能拡充、新規アプリケーションの導入などで活性化が進み、市場全体は堅実に伸びた。
 ユーザー企業において顧客接点重視の考えが広く普及し始めたことや14年4月のウインドウズXPのサポート終了を機会に、コンタクトセンターのシステムを刷新する企業が多かったことを市場成長の要因に挙げている。
 また、コンタクトセンターの刷新を機会に、異なる顧客応対窓口や複数拠点を複数に分散しているインフラを集約し、一拠点でバーチャル管理する動きが出てきているという。
 15年度以降は、これらの成長要因が落ち着いていくと予測。クラウド型の安価なコンタクトセンター・CRMソリューションサービスの単価下落も進むとみて、成長率は鈍化するとしている。
 一方で、新たな需要として、これまで利用の少なかった中小ユーザー企業が、顧客対応を強化するためにコンタクトセンター・CRMソリューションの利用を拡大すると指摘。大手ユーザー企業もウェブチャネルとコールセンターを融合させた新たな顧客サポート体制を強化しているため、一定以上の成長は示すと予測する。11年度から16年度までのコンタクトセンター・CRMソリューション市場規模(事業者売上高ベース)は年平均成長率4・7%で推移するとしている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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