今回は、EC事業を運営していくにあたって注意すべき、「特許権」のポイントについて解説します。
先日、米アマゾンが持つ、「ワンクリック注文」に関する特許について、米国での権利が9月11日付で消滅したと報道されました。日本での特許も18年9月14日に消滅します。特許の権利は、維持するための年金を支払わないとその年に消滅します。また、特許出願日から20年で権利は満了となります。これは、特許技術を、一定期間を経たら誰でも使えるようにするための施策です。
読者の中には、楽天市場に出店して商品を売っている事業者もいると思います。実は、楽天市場のシステムも特許第4588169号で守られています。この特許は楽天が所有していますが、ソフトウエア会社に委託してECサイトを作った関係で、発明者はソフトウエア会社の人物になっています。
自社でECサイトを作成する場合、システムやサービスなどに関して特許侵害に当たらないかよく確認する必要があるといえます。
さて、EC事業者のみなさんは、特許を取得している自社商品をECサイトで販売する場合、その特徴を広告すると思います。
(続きは、「日本ネット経済新聞」10月26日号で)
※「特許取得済」表示の一部例外について
医薬品や化粧品などの場合、厚生労働省の「医薬品等適正広告基準」という通知によって、特許を取得していることが事実でも、広告内での明記が認められていないものがあります。ECサイトで、化粧品の広告に特許取得済と記載するのは、この基準の違反に当たります。
【筆者プロフィール】
諏訪坂特許商標事務所・伊藤信和弁理士
94年、弁理士試験合格。金沢大学工学部機械科卒業後、ロボットメーカーに入社。特許に興味を持つ。ニコンの知的財産部や日本GEの知的財産部で、企業内弁理士として発明発掘から訴訟までを経験。その後諏訪坂特許商標事務所を設立。
【EC担当者が必ずおさえておきたい〈知的財産権のABC〉】第5回<特許権> 世界特許取得や国際特許取得は、虚偽表示
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